兵庫県で就労移行支援を利用する前に知っておくべきデメリットと対策
就労移行支援とは何か
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつです。身体障害、知的障害、精神障害、発達障害のある方が、一般企業への就職を実現するために必要な知識やスキルを身につけ、就職活動をサポートしてもらえる制度となっています。
兵庫県内には多数の就労移行支援事業所が存在し、神戸市、尼崎市、西宮市、姫路市などの主要都市を中心に展開されています。事業所によって、IT技術の習得に特化したところや、事務作業を中心に訓練するところ、接客サービスに力を入れているところなど、さまざまな特色があります。
✓ 就労移行支援で受けられるサポート
就労移行支援事業所では、以下のようなサポートを受けることができます。
- ✓ ビジネスマナーやコミュニケーションスキルの訓練
- ✓ パソコンスキルや専門技術の習得
- ✓ 履歴書・職務経歴書の作成支援
- ✓ 模擬面接や面接対策
- ✓ 企業実習の機会提供
- ✓ 就職後の職場定着支援
就労移行支援の主なデメリット
就労移行支援は多くのメリットがある一方で、利用者が直面する現実的な課題も存在します。ここでは、兵庫県で就労移行支援を利用する際に知っておくべきデメリットについて、具体的に見ていきましょう。
1 通所期間中の収入がほとんどない
就労移行支援の最大のデメリットは、訓練期間中に収入を得られないことです。就労移行支援は「訓練」の場であり、「労働」ではないため、工賃や給与が支払われません。
就労継続支援A型やB型では作業に応じた工賃が支払われますが、就労移行支援ではそのような仕組みはありません。一人暮らしをしている方や、家計を支える必要がある方にとって、この点は大きな負担となります。
2 利用期間が原則2年間に限定されている
就労移行支援の利用期間は、原則として2年間と定められています。この期間内に就職できなかった場合、サービスの利用を終了しなければなりません。期間延長が認められるケースもありますが、非常に限定的です。
2年という期間は、一見すると十分に思えるかもしれません。しかし、実際には体調の波がある方や、基礎的なスキルから習得する必要がある方にとって、就職準備と就職活動を完了させるには決して余裕のある期間ではありません。焦りから無理な就職活動をしてしまい、結果的にミスマッチな職場に就職してしまうケースも見られます。
3 通所にかかる交通費や食費は自己負担
就労移行支援事業所への通所にかかる交通費や、昼食代などの食費は基本的に自己負担です。兵庫県内でも神戸市や尼崎市などの都市部には事業所が多く存在しますが、郊外に住んでいる方にとっては、毎日の通所交通費が大きな負担になることがあります。
一部の自治体では交通費助成制度を設けている場合もありますが、兵庫県内でもその内容は市町村によって異なります。神戸市では一定の条件を満たせば交通費の助成を受けられる可能性がありますが、全ての利用者が対象となるわけではありません。また、生活保護を受給している方は交通費が支給される場合があります。
4 事業所によって支援の質に大きな差がある
就労移行支援事業所の質は、運営母体や支援員のスキル、カリキュラムの内容によって大きく異なります。兵庫県内だけでも数十の事業所が存在しますが、その支援内容には相当なばらつきがあるのが実情です。
例えば、専門的なITスキルを習得できる事業所がある一方で、簡単な軽作業の訓練のみで実践的なスキルが身につかない事業所も存在します。また、就職支援のノウハウが乏しく、履歴書の添削や面接練習が形式的なものにとどまってしまう事業所もあります。さらに深刻な問題として、利用者の定員を埋めることを優先し、個々の適性やニーズを十分に考慮せずに就職先を斡旋してしまう事業所も一部に見られます。
5 訓練内容が自分の目指す職種とマッチしないことがある
就労移行支援事業所で提供される訓練プログラムは、事業所によって大きく異なります。IT系の職種を希望しているのに、事務作業の基礎訓練しか提供されない事業所に通ってしまうと、時間を無駄にしてしまう可能性があります。
また、訓練のレベルが低すぎるという不満を持つ利用者も少なくありません。すでに一定のスキルを持っている方にとって、初歩的な内容の繰り返しは退屈に感じられ、モチベーションの低下につながることがあります。逆に、基礎から丁寧に学びたい方にとって、ハイレベルな内容ばかりの事業所は負担が大きすぎるでしょう。
6 通所の義務と時間的拘束
就労移行支援では、週に一定日数の通所が求められます。体調の波がある方や、精神的に不安定な時期がある方にとって、定期的な通所は大きなプレッシャーになることがあります。欠席が続くと、就職への意欲が低いと判断され、支援が打ち切られるケースもあります。
また、平日の日中に通所する必要があるため、アルバイトなどで収入を得ることが実質的に難しくなります。就労移行支援の利用規約で副業やアルバイトを禁止している事業所も多く、経済的な問題をさらに深刻化させる要因となっています。
7 就職先が必ずしも希望通りとは限らない
就労移行支援を利用したからといって、必ずしも希望する職種や条件の企業に就職できるわけではありません。事業所によっては提携企業が限られており、選択肢が狭いことがあります。また、障害者雇用の求人そのものが限定的で、特に兵庫県内でも地方部では求人数が少ないという現実があります。
さらに、事業所の就職実績を高めるために、利用者の希望よりも「就職しやすい企業」への就職を優先的に勧められるケースもあります。結果として、本当にやりたい仕事ではなく、とりあえず就職できる企業に妥協してしまう方も少なくありません。
デメリットへの具体的な対処法
就労移行支援のデメリットは確かに存在しますが、事前の準備と適切な対策によって、その影響を最小限に抑えることが可能です。ここでは実践的な対処法を紹介します。
✓ 経済的な準備を整える
就労移行支援を利用する前に、生活費の確保方法を明確にしておくことが重要です。
- 失業保険の受給資格がある場合は、ハローワークで「訓練延長給付」の対象となるか確認する
- 障害年金の受給資格がある場合は申請手続きを進める
- 家族と相談し、訓練期間中の生活費サポートについて話し合う
- 生活保護の利用を検討する場合は、福祉事務所で相談する
また、交通費や食費の負担を軽減するために、自宅から近い事業所を選ぶことや、弁当を持参することも有効な方法です。神戸市や尼崎市など、複数の事業所がある地域では、立地条件も比較検討の重要なポイントとなります。
✓ 複数の事業所を見学・体験する
事業所選びで失敗しないためには、必ず複数の事業所を見学し、体験利用することが欠かせません。最低でも3か所以上は比較検討することをお勧めします。
見学の際には、以下のポイントを確認しましょう。
- 提供されているプログラムの内容と、自分の目指す職種との関連性
- 支援員のスキルと対応の丁寧さ
- 利用者の雰囲気と年齢層
- 就職実績の具体的な数字(就職率、定着率、就職先の業種など)
- 施設の清潔さと設備の充実度
✓ 明確な目標設定と計画的な利用
2年間という限られた期間を有効活用するためには、利用開始前から明確な目標を設定し、計画的に訓練を進めることが重要です。支援員と相談しながら、以下のような具体的な計画を立てましょう。
- 最初の6か月:生活リズムの安定化と基礎スキルの習得
- 次の6か月:専門スキルの習得と実習への参加
- 次の6か月:本格的な就職活動の開始
- 最後の6か月:内定獲得と就職準備
✓ 就労継続支援との併用や切り替えを検討する
もし就労移行支援だけでは経済的に厳しい場合や、訓練のペースが合わない場合は、就労継続支援B型との併用や切り替えを検討することも一つの選択肢です。
就労継続支援B型では、作業に応じた工賃を受け取りながら、ゆっくりと就労準備を進めることができます。特にIT業務に特化したB型事業所では、パソコンスキルを身につけながら収入を得ることが可能です。兵庫県内でも、尼崎市などにIT業務を中心としたB型事業所が存在します。
兵庫県の就労移行支援事業所を選ぶ際のポイント
兵庫県内には多数の就労移行支援事業所が存在しますが、自分に合った事業所を選ぶことが成功への第一歩です。
✓ 専門性の高いプログラムを提供しているか
現代の労働市場では、ITスキルは多くの職種で求められる基本的な能力となっています。プログラミング、Webデザイン、データ入力、Office系ソフトの操作など、具体的なITスキルを習得できる事業所を選ぶことで、就職後の選択肢が大きく広がります。
特に発達障害のある方の中には、視覚的な情報処理が得意な方や、繰り返しの作業に高い集中力を発揮できる方が多くいます。IT業務はこうした特性を活かせる分野であり、専門的な訓練を受けることで大きな強みとなります。
✓ 心理的サポート体制が整っているか
就労準備の過程では、技術的なスキルの習得だけでなく、メンタル面のサポートも非常に重要です。臨床心理士や公認心理師などの専門スタッフが常駐し、定期的なカウンセリングを受けられる事業所を選ぶことで、安心して訓練に取り組むことができます。
特に精神障害や発達障害のある方にとって、ストレスマネジメントや対人関係の悩みに対する専門的なアドバイスは、就職後の職場定着にも大きく影響します。
✓ 就職後の定着支援が充実しているか
就労移行支援の目的は、単に就職することではなく、長く働き続けられる職場に就くことです。就職後の定着支援がどの程度充実しているかは、事業所選びの重要なポイントとなります。
定着支援の内容としては、就職後の定期的な面談、職場への訪問、企業との調整、緊急時の相談対応などがあります。最長6か月から1年程度の定着支援を提供している事業所が一般的ですが、その質と頻度は事業所によって異なります。
✓ 個別のニーズに柔軟に対応できるか
画一的なプログラムではなく、一人ひとりの特性や目標に合わせた個別支援計画を立ててくれる事業所を選びましょう。体調の波に応じて通所日数を調整できる柔軟性や、在宅での訓練にも対応できる体制があると、より安心して利用できます。
IT特化型の就労支援という選択肢
近年、IT人材の不足が深刻化する中で、障害のある方のIT分野での活躍が期待されています。2030年には約60万人のIT人材が不足するという予測もあり、IT業界は障害者雇用に積極的な企業が増えています。
発達障害のある方の中には、視覚的な情報処理能力に優れている方、細部への注意力が高い方、論理的思考が得意な方など、IT業務に適した特性を持つ方が多くいます。こうした特性を活かせる環境を選ぶことが、就職成功への近道となります。
✓ 自立訓練でじっくりIT技術を学ぶ
就労移行支援の2年間では時間が足りないと感じる方には、自立訓練という選択肢もあります。自立訓練は、身体機能や生活能力の向上を目的としたサービスで、最長2年間の利用が可能です。
兵庫県尼崎市には、IT就労に特化した自立訓練事業所「CYBER TECH ACADEMY」があります。この事業所では、プログラミング、Webデザイン、システム開発など、実務レベルのIT技術を1年目にじっくりと学び、2年目には実際の業務フローに基づいた実践的な訓練を行います。
✓ 在宅で働けるスキルを身につける
IT業務の大きな利点は、在宅勤務が可能な職種が多いことです。通勤に不安がある方や、体調の波がある方にとって、在宅で働けるスキルを持つことは大きな安心材料となります。
兵庫県尼崎市の「ワークリンク尼崎」では、就労継続支援B型でありながら、IT業務に特化しており、在宅勤務にも対応しています。データ入力、Excel作業、Web制作補助、SNS運用支援など、在宅でも可能な業務を通じてスキルを磨きながら、工賃を得ることができます。心理専門スタッフによるオンラインサポートもあり、在宅勤務でも孤立せずに働くことができます。
まとめ:デメリットを理解した上で最適な選択を
就労移行支援には確かにデメリットが存在しますが、それらを正しく理解し、適切に対処することで、一般就労への大きなステップとなります。重要なのは、自分の状況やニーズに合った支援サービスを選ぶことです。
経済的な問題、期間の制限、事業所の質のばらつきなど、就労移行支援のデメリットは無視できないものです。しかし、事前の準備と慎重な事業所選びによって、これらの問題を最小限に抑えることができます。
特に、自分の特性を活かせる分野でのスキル習得を目指すこと、心理的サポートが充実した環境を選ぶこと、就職後の定着支援まで見据えることが重要です。IT特化型の支援サービスは、現代の労働市場において非常に有効な選択肢となっています。
就労移行支援だけでなく、自立訓練や就労継続支援B型など、複数の選択肢を比較検討することも大切です。自分のペースで、自分に合った方法で就労準備を進めることが、長く働き続けられる職場に出会う鍵となります。
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また、就労継続支援B型事業所「ワークリンク尼崎」では、IT業務に特化した作業を通じて、スキルを磨きながら工賃を得ることができます。在宅勤務にも対応しており、臨床心理士・公認心理師による専門的なメンタルサポートも受けられます。
「就労移行支援のデメリットが気になる」「IT技術を身につけて就職したい」「在宅で働けるスキルがほしい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。見学や体験利用も随時受け付けています。
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