感覚鈍麻とは|特徴・原因から実践的な支援方法まで解説
感覚鈍麻とは?基本的な理解
✓ 感覚鈍麻の定義
感覚鈍麻とは、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚といった五感や、身体の位置や動きを感じる固有感覚、バランスをとる平衡感覚などに対して、通常よりも刺激を感じにくい、または刺激に気づきにくい状態のことです。感覚鈍麻は「感覚低登録」や「感覚の鈍さ」とも呼ばれています。
たとえば、痛みを感じにくいために怪我に気づかなかったり、暑さや寒さを適切に判断できずに体調を崩したりすることがあります。また、においや味の違いがわかりにくいために、食べ物の好き嫌いが激しくなったり、危険なにおい(ガス漏れなど)に気づけなかったりする場合もあるのです。
✓ 感覚過敏との違い
感覚鈍麻とは対照的に、感覚過敏は刺激を過剰に受け取ってしまう状態を指します。同じお子さまの中でも、ある感覚は鈍麻でありながら、別の感覚は過敏であるといった、複数の感覚特性が混在するケースも珍しくありません。
たとえば、聴覚は過敏で大きな音を嫌がる一方で、触覚は鈍麻で痛みに気づきにくいといった状態です。このように、感覚鈍麻と感覚過敏は相反する特性ですが、一人のお子さまの中で共存することがあるため、それぞれの感覚特性を丁寧に見極めることが大切になります。
感覚鈍麻が起こる原因とメカニズム
✓ 脳の情報処理における特性
感覚鈍麻は、脳が外部からの感覚情報を受け取り、処理する過程において生じる特性です。私たちは五感を通じて常に膨大な情報を受け取っていますが、脳はその中から必要な情報を選択し、適切に処理しています。
感覚鈍麻のあるお子さまの場合、脳が感覚刺激に対して十分に反応しなかったり、刺激の強度を正確に判断できなかったりすることがあります。これは、感覚情報を受け取る神経の働きや、脳内での情報処理の仕方に個人差があるためです。
✓ 発達障害との関連性
感覚鈍麻は、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障害のあるお子さまに見られることがあります。特にASDのお子さまでは、約90%に何らかの感覚特性があるとする研究報告もあります。
ただし、感覚鈍麻があるからといって必ずしも発達障害があるわけではありません。感覚の感じ方には個人差があり、発達障害の診断がないお子さまでも感覚鈍麻の特性を持つことはあります。気になる様子が見られる場合は、専門家による適切な評価を受けることが重要です。
感覚鈍麻の具体的な特徴【感覚別に解説】
✓ 視覚の感覚鈍麻
視覚の感覚鈍麻がある場合、明るさの変化に気づきにくい、色の違いを見分けることが難しい、視野内の細かい変化に気づかないといった特徴が見られます。
具体的には次のような様子が観察されることがあります。
- 部屋が暗くなっても照明をつけようとしない
- 文字を読むときに行を飛ばしやすい
- テレビ画面に極端に近づいて見る
- 探し物を見つけることが苦手
✓ 聴覚の感覚鈍麻
聴覚の感覚鈍麻では、音に対する反応が鈍かったり、音の強弱や方向を適切に判断できなかったりすることがあります。これにより、周囲の人とのコミュニケーションに支障が出る場合もあります。
日常生活では、このような様子が見られることがあります。
- 名前を呼ばれても反応しない、または反応が遅れる
- テレビや音楽の音量を大きくする
- 危険を知らせる音(車のクラクションなど)に気づきにくい
- 話しかけられたことに気づかず、無視していると誤解される
✓ 触覚の感覚鈍麻
触覚の感覚鈍麻は、痛み、温度、触れられた感覚などを感じにくい状態です。これは日常生活において安全面でのリスクを伴うこともあり、周囲の適切な見守りと配慮が必要になります。
触覚の感覚鈍麻による典型的な特徴には、次のようなものがあります。
- 転んで怪我をしても泣かない、または痛がらない
- 暑さや寒さに対する反応が鈍く、季節に合わない服装をしている
- 熱いものを触っても気づかない
- 怪我をしていることに気づかず、後から発見される
✓ 嗅覚・味覚の感覚鈍麻
嗅覚や味覚の感覚鈍麻は、においや味を適切に感じ取れない状態を指します。これにより、食事に関する困難さだけでなく、危険な状況に気づけないリスクもあります。
具体的には、このような特徴が見られます。
- 食べ物が腐っていても気づかない
- 味の濃いもの、刺激の強い食べ物を好む
- ガス漏れなどの危険なにおいに気づきにくい
- 味や食感の違いがわかりにくく、偏食につながることもある
✓ 固有感覚・平衡感覚の鈍麻
固有感覚は身体の位置や動きを感じ取る感覚、平衡感覚は身体のバランスを保つ感覚です。これらの感覚が鈍麻の場合、自分の身体がどこにあるか、どのように動いているかを正確に把握しづらくなります。
このような感覚鈍麻では、次のような行動が見られることがあります。
- 机や壁によくぶつかる
- 力加減が難しく、物を壊してしまうことがある
- ぐるぐる回る、ジャンプするなど、刺激を求める行動が多い
- じっとしていることが難しく、常に動いている
- 姿勢を保つことが苦手で、椅子にだらしなく座る
感覚鈍麻がある場合の困りごと
✓ 日常生活での課題
感覚鈍麻は、日常生活のさまざまな場面で困難さをもたらします。特に安全面でのリスクは深刻です。痛みを感じにくいため、怪我の程度を適切に判断できず、適切な手当てが遅れてしまうことがあります。また、危険を知らせる信号(熱さ、痛み、においなど)に気づけないため、より大きな事故につながる可能性もあります。
生活習慣の面でも課題が生じます。気温の変化に気づきにくいため、体調管理が難しくなります。暑いのに厚着をしている、寒いのに薄着でいるといった状態が続くと、熱中症や風邪を引きやすくなってしまいます。
✓ 学校生活での課題
学校生活では、感覚鈍麻による困りごとが学習や対人関係に影響を与えることがあります。聴覚の感覚鈍麻がある場合、先生の声や指示が聞き取りにくく、授業についていけなくなることがあります。視覚の感覚鈍麻では、黒板の文字を正確に読み取ることが難しかったり、教材の細かい部分を見落としたりすることがあります。
固有感覚や平衡感覚の鈍麻がある場合、体育の授業で運動が苦手だったり、図工や書写で細かい作業が難しかったりします。また、刺激を求めて動き回る行動が目立つと、周囲から「落ち着きがない」「集中力がない」と誤解されることもあります。
✓ 社会生活での課題
成長とともに、社会生活での困難さも顕在化してきます。聴覚の感覚鈍麻がある場合、他者とのコミュニケーションで聞き返すことが多くなり、会話がスムーズに進まないことがあります。また、相手の話を聞いていないと誤解されたり、指示を聞き漏らして仕事でミスをしたりすることもあります。
触覚の感覚鈍麻では、身だしなみに気を配ることが難しくなることがあります。服の汚れや乱れに気づかなかったり、髪型が崩れていることに無頓着だったりするため、周囲から理解されにくい場面も出てきます。
感覚鈍麻への具体的な対策とサポート
✓ 家庭でできる環境調整
家庭では、お子さまの感覚鈍麻の特性に合わせた環境調整が有効です。視覚の感覚鈍麻がある場合は、照明を明るくする、重要な物の置き場所を決めて視覚的にわかりやすくする、といった工夫が役立ちます。また、色のコントラストをはっきりさせることで、物の識別がしやすくなります。
聴覚の感覚鈍麻に対しては、声かけの際に名前を呼んでから話しかける、視覚的な情報も併用する(文字で書いて見せる、ジェスチャーを使う)といった対応が効果的です。重要な指示は、口頭だけでなくメモやホワイトボードに書いて確認できるようにするとよいでしょう。
触覚の感覚鈍麻への対策としては、定期的な体温測定、気温に応じた服装の具体的な提示(「今日は半袖と長ズボンがいいよ」など)、怪我の確認を習慣化することが大切です。また、安全面での配慮として、危険な場所や物について繰り返し説明し、注意を促すことも重要になります。
✓ 学校での合理的配慮
学校生活においては、教育機関との連携による合理的配慮が重要です。座席の位置を工夫する(前方の席にする、窓側を避けるなど)、指示は視覚的情報と併用する、重要な連絡事項は文書で渡すといった配慮を依頼することができます。
体育の授業では、身体のコントロールが難しい場合に個別の支援を受けられるよう相談することも可能です。また、固有感覚や平衡感覚の鈍麻により動き回る行動が多い場合は、適度に身体を動かす時間を設ける、集中が必要な場面では落ち着ける環境を用意するといった配慮が効果的です。
✓ 専門的な支援の活用
感覚鈍麻への対応には、作業療法士による感覚統合療法などの専門的な支援が有効な場合があります。感覚統合療法では、適切な感覚刺激を提供することで、脳が感覚情報を処理する力を育てていきます。
また、放課後等デイサービスや児童発達支援などの福祉サービスを利用することで、お子さまの特性に合わせた専門的な支援を継続的に受けることができます。これらのサービスでは、感覚鈍麻への対応だけでなく、コミュニケーション能力や社会性の向上、学習支援なども総合的に行われています。
※お子さまの感覚特性について、専門スタッフがご相談に応じます
IT療育が感覚鈍麻のあるお子さまに効果的な理由
✓ 視覚的な情報提示による理解促進
プログラミングやIT学習は、視覚的な情報を中心に進められるため、聴覚の感覚鈍麻があるお子さまにとって理解しやすい学習方法です。画面上に表示される指示や結果を自分のペースで確認できるため、聞き漏らしの心配がありません。
また、プログラミングは試行錯誤を繰り返しながら進める学習スタイルであるため、感覚鈍麻により理解に時間がかかる場合でも、自分のペースで何度でも挑戦できます。成功した瞬間の達成感は、お子さまの自己肯定感を高めることにもつながります。
✓ 個別最適化された学習ペース
IT療育では、一人ひとりの特性や理解度に合わせた個別カリキュラムを組むことができます。感覚鈍麻により集中力の持続が難しい場合でも、短時間での達成感を味わえる課題設定や、興味のある分野から学習を始めることで、モチベーションを維持しやすくなります。
また、パソコンを使った学習は環境からの余計な刺激が少なく、集中しやすい環境を作りやすいという利点もあります。固有感覚や平衡感覚の鈍麻により身体を動かしたい衝動が強いお子さまでも、プログラミングやゲーム制作の「自分で何かを作り上げる」という楽しさが、椅子に座って取り組む時間を自然と延ばしていきます。
✓ 成功体験の積み重ね
IT学習では、プログラムが正しく動いた瞬間、自分で作ったゲームが完成した瞬間など、明確な成功体験を得られる機会が多くあります。感覚鈍麻があると、日常生活でうまくいかないことや叱られることが多くなりがちですが、IT学習ではお子さまの得意な分野を伸ばすことで、自信をつけることができます。
こうした成功体験の積み重ねは、お子さまの将来の可能性を広げることにもつながります。IT業界では、感覚鈍麻を含む発達特性が、むしろ細部へのこだわりや集中力といった強みとして評価されることもあるのです。
プラスイノベーションの感覚特性に配慮した支援
✓ Kid'sTECHでの取り組み
プラスイノベーションが運営する放課後等デイサービス「Kid'sTECH」では、感覚鈍麻を含むさまざまな発達特性のあるお子さまに対して、IT療育を通じた支援を提供しています。
Kid'sTECHの教室環境は、シンプルで視覚的な刺激を抑えた設計となっており、集中しやすい空間となっています。聴覚の感覚鈍麻があるお子さまには、視覚的な指示を中心に、必要に応じて個別に声かけを行います。また、固有感覚や平衡感覚の鈍麻により動きたい衝動が強いお子さまには、適度に身体を動かす時間を設けながら、プログラミングやゲーム制作の楽しさで自然と座って取り組める時間を増やしていきます。
カリキュラムは、ゲーム開発コース、ITプログラミングコース、ITデザインコースの3つから、お子さまの興味や特性に合わせて選択できます。すべてのコースで、段階的なステップアップを設計しており、小さな成功体験を積み重ねながら確実にスキルを身につけていける仕組みとなっています。
✓ 保護者の方からの声
実際にKid'sTECHをご利用いただいている保護者の方から、次のような声をいただいています。
「学校では多動が激しくじっと座ることができず悩んでいましたが、Kid'sTECHのシンプルな教室環境では集中して過ごすことができています。プログラミングを通じて、息子の新しい可能性を発見できました」
「読み書きが苦手でも、ゲーム制作のために複雑な文章や長い指示書を読むようになりました。子どもの可能性が広がるかもしれないと期待しています」
感覚鈍麻について相談できる場所
✓ 医療機関での診断
お子さまの感覚鈍麻が気になる場合、まずは小児科や小児神経科、児童精神科などの医療機関で相談することをおすすめします。医師による診察や心理検査(WISC検査など)を通じて、お子さまの特性を正確に把握することができます。
診断結果に基づいて、適切な支援方法についてのアドバイスを受けることができます。また、必要に応じて療育手帳や受給者証の取得についても案内してもらえます。
✓ 療育機関での支援
感覚鈍麻への対応では、児童発達支援センターや放課後等デイサービスなどの療育機関を利用することも有効です。これらの施設では、作業療法士や臨床心理士などの専門職が、お子さま一人ひとりの特性に合わせた支援プログラムを提供しています。
受給者証をお持ちの場合、これらのサービスを少ない自己負担で利用できます。まだ取得されていない方は、お住まいの市区町村の福祉課や子育て支援課で申請方法を確認することができます。
✓ プラスイノベーションへのご相談
プラスイノベーションでは、感覚鈍麻を含む発達特性のあるお子さまへの支援を、IT療育を通じて提供しています。無料の見学・相談会を随時開催しておりますので、お子さまの特性に合った支援方法について、お気軽にご相談ください。
臨床心理士・公認心理師が常駐しており、保護者の方のお悩みにも丁寧に対応いたします。お子さまの「弱み」を「強み」に変える支援を通じて、輝かしい未来を一緒に創っていきましょう。
- 臨床心理士・公認心理師による専門的サポート
- お子さまの特性に合わせた個別カリキュラム
- 集中しやすいシンプルな教室環境
- 受給者証利用可能(自己負担軽減)
- 将来のIT就労まで見据えた長期的支援
※まずはお気軽にご相談ください。専門スタッフが丁寧に対応いたします
感覚鈍麻は、適切な理解と支援があれば、お子さまの生活の質を大きく向上させることができます。一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。プラスイノベーションは、お子さまの輝かしい未来を創造するお手伝いをいたします。