場面緘黙症の読み方とは|正しい理解と支援のポイント
場面緘黙症の正しい読み方と基本的な意味
場面緘黙症は「ばめんかんもくしょう」と読みます。「緘黙」という漢字が難しく、初めて目にすると読み方に迷われる方も少なくありません。「緘」は「かん」、「黙」は「もく」と読み、口を閉ざして黙っている状態を意味しています。
✓ 選択性緘黙との関係性
場面緘黙症は「選択性緘黙」や「選択緘黙」とも呼ばれます。これらは同じ状態を指す言葉であり、医学的には「selective mutism」の日本語訳として使用されています。近年では「選択性緘黙」という呼称も一般的になってきていますが、いずれも特定の場面や状況において話すことができない状態を指します。
「選択性」という言葉から、本人が意図的に話さないことを選んでいるかのような誤解を招きやすいのですが、実際には本人の意思とは関係なく、不安や緊張によって声が出せなくなってしまう状態です。この点を理解することが、適切な支援の第一歩となります。
✓ 医学的な位置づけ
世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-10)では、場面緘黙症は「小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害」に分類されています。また、米国精神医学会の診断基準(DSM-5)では、「不安症群」の一つとして位置づけられており、単なる性格の問題ではなく、専門的な理解と支援が必要な状態として認識されています。
場面緘黙症とは?主な症状と特徴
場面緘黙症とは、家庭など特定の環境では問題なく話せるにもかかわらず、学校や幼稚園などの社会的場面において一貫して話すことができない状態が続くことを指します。この「一貫して」という点が重要で、時々話せないというレベルではなく、継続的に話せない状況が見られます。
✓ 子供に見られる具体的な症状
幼稚園や学校において、場面緘黙症のお子さまには以下のような特徴的な様子が見られます。
- ✓ 先生や友達に話しかけられても返事ができない
- ✓ 授業中に手を挙げて発表することができない
- ✓ 表情が硬く、身体の動きが少なくなる
- ✓ 視線を合わせることが難しい
- ✓ うなずきや首振りなどの非言語コミュニケーションも制限される
興味深いのは、同じお子さまでも家庭に帰ると全く様子が変わり、普通に会話ができ、時には多弁になることさえあるという点です。この極端な二面性が、場面緘黙症の大きな特徴といえます。
✓ 単なる恥ずかしがり屋との違い
場面緘黙症は、しばしば「ただの恥ずかしがり屋」や「引っ込み思案な性格」と誤解されてしまいます。しかし、両者には明確な違いがあります。
恥ずかしがり屋のお子さまは、最初は緊張していても、時間の経過とともに慣れて話せるようになります。また、小声であっても必要な場面では声を出すことができます。一方、場面緘黙症の場合は、何ヶ月、何年経っても特定の場面では話せない状態が続き、本人が話したいと思っていても声が出せないという点が大きく異なります。
場面緘黙症の原因として考えられること
場面緘黙症の原因は単一ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って生じると考えられています。親の育て方が原因であるという誤解も存在しますが、これは科学的根拠のない偏見です。
✓ 生まれ持った気質的要因
場面緘黙症のお子さまの多くは、生まれつき不安を感じやすい気質を持っているとされています。新しい環境や人に対して強い緊張感を覚えたり、刺激に対して敏感に反応したりする傾向があります。このような行動抑制的な気質は遺伝的な要素も関係していると考えられており、同じ家族内で複数人が場面緘黙症を経験するケースも報告されています。
✓ 環境的な要因とトラウマ体験
幼稚園や保育園への入園、転校、引っ越しなど、環境の大きな変化がきっかけとなって場面緘黙症が始まることがあります。また、人前で失敗して恥ずかしい思いをした経験や、からかわれた体験などが引き金になる場合もあります。
ただし、これらの環境要因だけで場面緘黙症が生じるわけではなく、前述の気質的な要因と組み合わさることで発症すると考えられています。つまり、同じ環境変化を経験しても、すべての子供が場面緘黙症になるわけではないということです。
✓ 発達特性との関連性
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの発達特性を持つお子さまの中に、場面緘黙症を併せ持つケースが見られます。特にASDの特性である社会的コミュニケーションの困難さや、感覚過敏などが、特定の場面での発話困難につながることがあります。
とはいえ、場面緘黙症のすべてのお子さまが発達特性を持っているわけではありませんし、逆もまた然りです。それぞれは別の状態であり、たまたま重なって現れることがあるという理解が適切です。
子供と大人で異なる場面緘黙症の現れ方
場面緘黙症は子供に多く見られる状態ですが、適切な支援を受けられないまま成人期を迎えるケースも存在します。子供と大人では、症状の現れ方や直面する課題が異なります。
✓ 子供の場合の特徴
場面緘黙症は通常、幼児期から学齢期初期(2歳〜5歳頃)に始まることが多く、幼稚園や保育園への入園時に気づかれるケースが大半です。子供の場合、学校生活において以下のような困難に直面します。
- 授業中の発表や音読ができず、学習評価に影響が出る
- 友達との関係構築が難しく、孤立しやすい
- 体調不良やトラブルを訴えられない
- グループ活動への参加が困難
早期に発見し適切な支援を開始できれば、思春期までに改善する可能性が高いとされています。そのため、周囲の大人がサインに気づき、専門家につなぐことが重要です。
✓ 大人の場合の特徴
子供時代に適切な支援を受けられなかった場合、場面緘黙症の特性が成人期まで持続することがあります。大人の場合は完全に話せないというよりも、特定の状況で極度の緊張により会話が困難になったり、声が小さくなったりする形で現れることが多いです。
職場での会議やプレゼンテーション、電話対応、初対面の人との会話など、社会生活における様々な場面で支障をきたします。また、長年の経験から自己肯定感が低下し、うつ病や社交不安症などの二次的な問題を抱えるケースも少なくありません。
場面緘黙症かどうかを見極めるポイント
お子さまの様子を見て「もしかして場面緘黙症では」と感じた際、以下のポイントを確認してみてください。ただし、これらはあくまで目安であり、正式な診断は専門機関で受ける必要があります。
✓ 場面による違いの確認
- ✓ 家庭では年齢相応に話せているか
- ✓ 学校や園では一貫して話せない状態が1ヶ月以上続いているか
- ✓ 特定の人(家族など)とは話せるが、他の人とは話せないか
- ✓ 話せないことで学習や社会生活に支障が出ているか
✓ 他の可能性の除外
話せない理由が他にないかも確認が必要です。言語の発達遅滞や聴覚の問題、自閉スペクトラム症による社会的コミュニケーションの困難などが原因でないかを、専門家による評価を通じて見極めます。
DSM-5では、話せない状態が1ヶ月以上(入園・入学直後の1ヶ月を除く)続き、学業・職業・社会的コミュニケーションに支障をきたしている場合に、場面緘黙症の診断基準を満たすとされています。
場面緘黙症への効果的な対応と支援方法
場面緘黙症への支援は、無理に話させようとするのではなく、安心できる環境を整え、段階的に話せる範囲を広げていくアプローチが基本となります。
✓ 環境調整の重要性
まず学校や園と連携し、お子さまが過度なプレッシャーを感じない環境を整えることが大切です。具体的には以下のような配慮が有効とされています。
- 音読や発表を強要しない(代替手段を用意する)
- 非言語的なコミュニケーション(うなずき、指さし、筆談など)を認める
- 少人数の場や個別の場面から始める
- 話せないことを責めたり、からかったりしない雰囲気づくり
✓ 段階的な曝露療法(スモールステップ)
認知行動療法の一つである曝露療法では、不安を感じる場面に少しずつ慣れていくアプローチを取ります。話せる人・場所・状況を徐々に広げていく計画を立て、成功体験を積み重ねることで自信をつけていきます。
例えば、「先生と二人きりの部屋で話す」→「親も同席した状態で先生と話す」→「仲の良い友達一人が加わった状態で話す」というように、小さな目標を設定し、一つずつクリアしていきます。重要なのは、お子さまが達成可能と感じられる範囲で段階を設定することです。
✓ 家庭でのサポート
保護者の方ができることとして、以下の点が挙げられます。
- ✓ 「なぜ話せないの」と問い詰めない
- ✓ 話せたことではなく、参加できたこと自体を評価する
- ✓ 家庭では安心して過ごせる環境を維持する
- ✓ 他の子と比較しない
- ✓ お子さまの得意なことや好きなことを見つけ、伸ばす
特に最後の点は重要です。場面緘黙症のお子さまは、言葉以外の方法で優れた能力を発揮することがあります。絵を描くこと、ものづくり、そしてITスキルなど、言語コミュニケーションに頼らない分野での才能を伸ばすことが、自己肯定感の向上につながります。
✓ 専門機関での治療
場面緘黙症の相談先としては、児童精神科、小児科、心療内科などの医療機関のほか、教育相談センター、児童発達支援センター、発達障害者支援センターなどがあります。臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングや心理療法も有効です。
薬物療法が検討されるケースもあり、強い不安症状がある場合には選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などが処方されることがあります。ただし、薬物療法は環境調整や心理療法と組み合わせて用いられるものであり、薬だけで完治するものではありません。
IT療育による場面緘黙症の支援アプローチ
プラスイノベーションでは、場面緘黙症をはじめとする発達特性のあるお子さまに対し、IT療育という独自のアプローチで支援を行っています。プログラミングやデジタルツールを活用することで、言語コミュニケーションに依存しない学びと成長の機会を提供しています。
✓ IT療育が場面緘黙症のお子さまに適している理由
プログラミング学習は、場面緘黙症のお子さまにとって以下のようなメリットがあります。
- ✓ 言葉を発しなくても学習が進められる
- ✓ タイピングやマウス操作などの非言語的な手段でコミュニケーションが可能
- ✓ 個別のペースで学習でき、他者と比較される機会が少ない
- ✓ 作品という形で成果を可視化でき、達成感を得やすい
- ✓ 将来の就労につながる実践的なスキルが身につく
特に注目すべきは、場面緘黙症のお子さまが持つ集中力の高さや細部への注意力といった特性が、プログラミングやデザインの分野で強みとなる点です。話すことが苦手でも、コードやデザインで自分を表現し、優れた成果を生み出すお子さまは少なくありません。
✓ Kid'sTECHの支援体制
日本初のIT療育型放課後等デイサービスであるKid'sTECHでは、臨床心理士・公認心理師が常駐し、お子さま一人ひとりの特性に合わせた支援計画を立てています。
場面緘黙症のお子さまに対しては、無理に発話を求めず、タブレットやパソコンを使った筆談やチャット機能を活用したコミュニケーションを取り入れています。また、少人数制のクラス編成により、お子さまが安心して活動できる環境を整えています。
さらに、トークンエコノミー法を採用し、「話す」ことではなく「参加する」「取り組む」「完成させる」といった行動を評価することで、お子さまの自己肯定感を高める工夫をしています。
✓ 将来を見据えた支援
プラスイノベーションの特徴は、療育から就労までの一貫した支援体制にあります。Kid'sTECHで学んだお子さまは、高校卒業後は就労型自立訓練事業「CYBER TECH ACADEMY」でさらに実践的なITスキルを磨き、最終的には自社のITソリューション事業部や提携企業での就労につながる道筋が整っています。
場面緘黙症があっても、ITスキルを武器にリモートワークやフリーランスとして活躍する道も開かれています。実際、当社の卒業生の中には、在宅でWebデザイナーやプログラマーとして働いている方もいらっしゃいます。
※場面緘黙症のお子さまの見学も歓迎しています。まずはお気軽にご相談ください。
場面緘黙症でお困りの方へ
場面緘黙症は、適切な理解と支援があれば改善が期待できる状態です。「読み方」を知ることから始まり、正しい知識を得て、専門家の支援を受けることで、お子さまの未来は大きく変わります。
最も大切なのは、お子さまが「話せない自分はダメだ」と感じることなく、「話せなくても価値がある」「他の方法で表現できる」と実感できる環境を整えることです。そして、話すことだけが全てではなく、その子の持つ多様な能力を見つけ、伸ばしていく視点を持つことが重要です。
✓ プラスイノベーションができること
株式会社プラスイノベーションでは、場面緘黙症のお子さまとそのご家族に対し、以下のサポートを提供しています。
- ✓ 臨床心理士・公認心理師による専門的なアセスメントとカウンセリング
- ✓ IT療育による非言語的なコミュニケーション手段の確保
- ✓ 個別最適化された学習プログラムの提供
- ✓ 保護者の方への定期的な面談と情報提供
- ✓ 学校・園との連携サポート
- ✓ 将来の就労を見据えたキャリア形成支援
「うちの子は場面緘黙症かもしれない」「診断は受けたけれど、どう支援すればいいかわからない」「将来が不安」といったお悩みをお持ちの保護者の方は、ぜひ一度ご相談ください。兵庫県尼崎市の本校のほか、東京都大田区にも教室があり、オンラインでの相談も受け付けています。
✓ ご相談の流れ
お問い合わせ
お電話またはWebフォームから無料相談をお申し込みください。お子さまの状況を簡単にお聞かせいただきます。
見学・個別相談
実際の教室をご見学いただき、臨床心理士が個別にお話を伺います。お子さまは無理に参加する必要はありません。
体験利用
実際のプログラムを体験していただけます。お子さまが安心して参加できるよう、スタッフが丁寧にサポートします。
利用開始
受給者証の手続きをサポートしながら、個別支援計画を作成し、療育をスタートします。
※お電話でのお問い合わせ: 06-6415-6977(平日9:00〜18:00)
※オンライン相談も受け付けています
場面緘黙症は、お子さま本人が最も苦しんでいる状態です。「そのうち話せるようになる」と放置せず、早期に専門的な支援につながることで、お子さまの未来の選択肢は大きく広がります。プラスイノベーションは、お子さまの「弱み」を「強み」に変え、輝く未来を共に創造していきます。