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コラム

遅刻が「病気のサイン」である可能性と向き合う

2026.02.14

遅刻が「病気のサイン」である可能性と向き合う|繰り返す遅刻の原因と対処法

「なぜ自分だけいつも遅れてしまうのだろう」と悩んだことはありませんか。どれだけ気をつけても、毎回ギリギリになるか、気づいたら時間を過ぎている。そんな経験が続くとき、意志の弱さや性格の問題と片づけてしまいがちです。しかし、繰り返す遅刻の背景には、発達特性や精神疾患、睡眠障害といった医学的な要因が絡んでいるケースがあることが、近年明らかになってきました。この記事では、遅刻と病気・特性の関係を整理したうえで、具体的な対処法と支援の選択肢をお伝えします。

「遅刻癖」と「病気のサイン」はどこで分かれるか

遅刻をするすべての人に病気や特性があるわけではありません。前日の夜更かし、単純な確認不足、慣れない場所への移動など、誰にでも起こりうる原因がほとんどです。ここで重要なのは、「努力しても改善しない」「繰り返しの頻度が高い」「日常生活に支障が出ている」という三つの条件が重なったときです。 この段階になると、遅刻はもはや習慣の問題ではなく、脳の情報処理や睡眠リズム、メンタルヘルスに関わる何らかのサインである可能性を疑う必要があります。

「慢性遅刻症候群」という考え方について知っておく

「慢性遅刻症候群」という言葉をご存じでしょうか。これは正式な医学的診断名ではありませんが、習慣的かつ意図せず遅刻を繰り返す状態を表す概念として、一般的に使われるようになっています。週に一度以上の頻度で遅刻が続き、時間管理や計画立案への苦手意識が強く、睡眠リズムの乱れを抱えているケースに当てはまることが多いとされています。 重要なのは、このような状態が「本人の怠慢」から来るとは限らないという点です。遅刻を繰り返す人の多くは、毎回「今度こそ」と思いながら、また同じことを繰り返します。この反省と繰り返しのサイクル自体が、特性や疾患による困りごとである可能性を示しています。

遅刻を繰り返す背景にある主な特性・疾患

繰り返す遅刻の背景として、現在の研究で関連が指摘されている特性や疾患を整理します。あくまで可能性の話であり、自己診断ではなく専門家への相談が前提ですが、「自分に近い」と感じる方は特に注意してみてください。

ADHD(注意欠如・多動症)── 遅刻と最も深く結びついた特性

遅刻と関連の深い特性として、まず挙がるのがADHD(注意欠如・多動症)です。ADHDは不注意・多動性・衝動性を中心とする神経発達症で、時間管理のしづらさはその中でも代表的な困りごとのひとつです。 特徴的なのは「タイム・ブラインドネス(時間の見えなさ)」と呼ばれる状態です。通常の感覚では「30分後」「あと10分」という感覚が自然に備わっていますが、ADHDのある人にとって、時間はしばしば「今」か「今じゃない」かという二択に近い感覚になりやすいとされています。シンプレ訪問看護ステーションの解説によれば、ADHDのある方は衝動性や不注意の影響で「あと何分で出発しなければならないか」を把握しにくく、本人が努力しても改善が難しいケースがあることが指摘されています。

ASD(自閉スペクトラム症)── 切り替えの難しさが遅刻につながる

ASD(自閉スペクトラム症)のある方の遅刻は、ADHDとは少し異なるメカニズムで起こります。一度あることに集中し始めると、別の活動への切り替えに時間がかかる「転換のしにくさ」が、出発を遅らせることがあります。また、予定が少し変わった、道に迷った、持ち物が足りなかったといったイレギュラーな事態への対処に時間がかかり、そのまま遅刻につながるケースも多いです。 加えて、「〇時に着けばいい」という感覚で逆算することが苦手な場合、移動時間の見積もりが甘くなりやすく、計算上は間に合うはずが実際には遅れてしまうというパターンが起きやすくなります。

うつ病・不安障害── 「行きたくない」が無意識に遅刻を引き起こす

うつ病や不安障害でも、慢性的な遅刻が生じることがあります。これは単純な体の重さや朝起きられないという症状だけでなく、フランスの社会心理学者の分析にあるように「燃え尽きた状態の人が、仕事や約束の場を無意識に回避しようとする行動」として遅刻が現れるケースがあります。 自覚がないまま自宅でやることを増やし、気づいたら出発できなくなっているという状態です。本人は「なぜ今日も遅れてしまったのか」と不思議に感じることがあり、意志の問題ではなく心理的な回避行動として捉える視点が必要です。

睡眠障害── 「朝起きられない」が遅刻の根本にある場合

遅延性睡眠相障害(DSP)など、体内時計のリズムが夜型にずれている睡眠障害のある人は、どれだけ早く布団に入っても特定の時間まで入眠できず、朝の起床が極端に困難になります。発達障害と睡眠障害は併発しやすいことも知られており、「ADHD+睡眠障害」のように複合的な困りごとを抱えているケースも少なくありません。この場合、生活習慣の改善だけで解決しようとしても限界があり、医療的なサポートが必要になることがあります。

ADHDが遅刻するメカニズムを深く理解する

「ADHD=遅刻しやすい」という事実はよく知られていますが、なぜそうなるのかが正確に理解されていないと、的外れな対策を取り続けることになります。ここでは、ADHDによる遅刻が起きるメカニズムを三つの側面から掘り下げます。

時間の見積もりが根本的に苦手な理由

「10分で終わると思っていた準備が、実際には30分かかっていた」──この経験はADHDのある人に非常によく見られます。これは単なる楽観主義ではなく、「メタ認知」と呼ばれる、自分の行動を客観的に見る能力が働きにくいことに関係しています。 通常、人は過去の経験から「歯磨きには3分、着替えには5分」という時間感覚を積み上げています。ところがADHDのある人は、この積み上げが起きにくいことがあります。毎回「今日は早くできるはず」とリセットされた感覚で見積もるため、過去の失敗が次の計画に反映されないのです。
💡 POINT
ADHDのある人への対策として、準備の各工程にかかる時間をストップウォッチで実際に計測し「記録する」ことが有効です。見積もりの精度は経験では上がらないため、データとして記録し、それを見て逆算するというステップが必要になります。

過集中が出発を阻む

ADHDには不注意だけでなく、興味のあることへの「過集中」という側面もあります。好きなゲーム、スマホ、作業中の仕事に一度没入すると、外からの刺激が入りにくくなり、時計を見るという行動自体が抜け落ちます。「気づいたら30分経っていた」という感覚は、まさにこの状態です。 他の人が「そろそろ出ないと」と自然に感じる内側のタイマーが働きにくいため、意識的に外側からブレーキをかける仕組みが必要になります。

忘れ物・なくしものによる連鎖的な時間ロス

ADHDのある人に多い忘れ物やなくしものは、単独では数分のロスであっても、それが出発直前に発生すると事態は深刻です。鍵が見つからない、財布がない、資料を置いてきた──こうした探し物のパニック状態では、冷静な思考も難しくなります。 発達障害当事者の書籍でも「ベルトが見つからないだけで重要な契約の日に遅刻した」という経験が語られています。毎日使うものでも、置く場所が固定されていなければ毎朝が宝探しになります。これは不注意な「性格」ではなく、物の定位置化という習慣が構築されにくいという特性によるものです。

遅刻が職場と人間関係に与えるダメージ

遅刻の問題は本人の精神的なつらさだけにとどまりません。社会的な信用という観点でも、積み重なれば大きな損失になります。 職場では、どれだけ仕事の質が高くても、遅刻が繰り返されると「信頼できる人物」という評価がつきにくくなります。特に日本の職場環境では、時間を守ることは基本的なビジネスマナーとみなされているため、一度ついたイメージを覆すのは容易ではありません。 プライベートでも同様です。「どうせまた遅れる」と思われるようになると、誘いが減り、関係が疎遠になります。本人としては謝罪を繰り返しているのに、関係が改善しないという悪循環が続くことがあります。 特に発達特性のある方にとって、この悪循環が自己肯定感の低下につながり、さらにうつや不安の二次障害を引き起こすリスクもあります。問題を「自分が悪い」という自己責任論だけで捉えるのではなく、原因に応じた対処を考えることが、結果的に社会的な信頼を取り戻す近道です。

遅刻を減らすために発達特性のある人が試すべき対策

対策を立てる前に重要なのは、「自分の遅刻はどのパターンで起きているか」を把握することです。時間の見積もりミスなのか、過集中なのか、忘れ物なのか、朝起きられないことなのかによって、有効な手段が変わります。以下では、発達特性のある方に特に効果が報告されている対策を取り上げます。

時間の「見える化」から始める

ADHDのある方が最初に取り組むべき対策は、時間を目で見える形にすることです。壁掛け時計よりも、残り時間が減っていく様子が目で確認できるタイプのタイマーが有効です。スマホのアラームを一つだけセットするのではなく、起床時刻・準備開始・出発10分前・出発時刻という具合に「多段設定」すると、それぞれの工程でブレーキがかかります。 また、準備に実際にかかった時間を記録して可視化することも効果的です。「体感10分」が「実際30分」だと客観的なデータで示されると、次の計画に反映しやすくなります。

朝のルーティンを「考えなくていい」状態まで固定する

毎朝「次に何をするか」を考える時間そのものが、ADHDのある方にとっての時間ロスになります。歯磨き→顔洗い→着替え→朝食という順番を完全に固定し、それを繰り返すことでルーティン化する方法が有効です。 重要なのは、「ルーティンをこなすことに成功した」という達成感を積み重ねることです。プラスイノベーションのCYBER TECH ACADEMYでは、就労訓練のなかで時間管理・生活リズムの整え方を個別に指導しており、「無遅刻無欠席を目標にし、支援員からの声かけで通所できている」という声も利用者から届いています。発達特性のある方の時間管理は、意志だけでなく環境設計と周囲のサポートで変わります。

物の定位置を決め、探す時間をゼロにする

鍵・財布・交通系ICカードなど、毎日持ち出す必需品の置き場を玄関の一か所に固定することは、忘れ物・なくしものによる時間ロスを防ぐうえで非常に効果的です。重要なのは「例外を作らないこと」で、どんなに急いでいても必ず決めた場所に置く習慣が定着することで、探す時間がゼロになります。 もう一歩進めると、前日夜のうちに翌日の持ち物一式をバッグに入れて準備を完了させておく「前日完結型」の準備が有効です。当日の朝にやることを最小化するほど、遅刻リスクは下がります。

周囲のサポートを活用することへの抵抗感を手放す

「自分でなんとかしなければ」という意識が、かえって遅刻を長引かせることがあります。信頼できる家族や職場の同僚に「〇時に声をかけてほしい」と伝えることや、支援機関のサービスを使うことは、決して甘えではありません。 発達特性のある方の時間管理の改善には、本人の努力だけでなく、環境と他者のサポートが組み合わさることが重要です。特に職場では、上司や人事担当者に特性を開示し、フレックスタイム制や在宅勤務の活用を相談するという現実的な選択肢も存在します。
遅刻のパターン 主な原因の可能性 効果的な対策
準備時間を読み誤る ADHDの時間感覚の歪み 所要時間の記録・多段アラーム
集中しすぎて出発が遅れる ADHDの過集中 タイマーを外部から設置・視覚的な時計
物が見つからず焦る ADHDの不注意・ASD 持ち物の定位置化・前日準備
朝起きられない 睡眠障害・発達障害の併発 医療機関への相談・生活リズムの支援
行くこと自体が苦痛 うつ・不安障害 心療内科・就労支援への相談

「それでも治らない」と感じたら、支援を使う選択肢がある

自助努力で対策を試みても改善しない場合、それは意志の問題ではなく、支援の必要なサインである可能性が高いです。遅刻の背景にある特性や疾患に合わせた専門的なサポートを受けることで、状況が変わることがあります。 相談先としては、精神科・心療内科での診断と投薬治療(ADHDへの薬物療法など)、発達障害者支援センターへの相談、就労移行支援や自立訓練といった福祉サービスの活用が選択肢に挙がります。
💡 POINT
発達障害のある方が「就労に必要な生活習慣を身につけたい」「時間管理の習慣を作りたい」と感じている場合、就労継続支援や自立訓練などの福祉サービスを活用することで、専門スタッフのサポートのもと段階的に習慣を整えることができます。

プラスイノベーションに相談してみませんか

株式会社プラスイノベーションは、発達に凸凹がある方の「弱みを強みに変える」を理念に、兵庫県尼崎市・東京都大田区を拠点としてITを活用した支援サービスを展開しています。 就労継続支援B型「ワークリンク尼崎」では、時間管理や生活リズムの支援も含めた個別サポートを行っています。うつの状態に合わせた柔軟な勤務体制、臨床心理士・公認心理士の常駐によるカウンセリング、在宅での作業対応など、発達特性や精神障害のある方がゆっくりと働く習慣を取り戻せる環境を整えています。 また、就労型自立訓練「CYBER TECH ACADEMY」では、2年間のカリキュラムのなかで時間管理・身だしなみ・健康管理といった生活訓練も実施しており、IT技術とともに就労に必要な生活習慣を育てていきます。作業療法士が日常動作から就労準備まで伴走するため、「遅刻癖をどうにかしたいけれど、一人では難しい」という方にもサポートが届きます。
  • 精神障害・発達障害(ADHD・ASD・LD・起立性調節障害など)のある方が対象
  • 臨床心理士・公認心理師・作業療法士が常駐
  • 就労継続支援B型の工賃月額1万円~5万円、在宅対応可
  • 自立訓練は週3日からスタート可能・送迎サービスあり
利用者の声

"朝起きれなくても、支援員からの『待ってるね』という温かい声かけで何とか続けて通うことができています。無遅刻無欠席を目標に、毎日頑張っています。"

— CYBER TECH ACADEMY 2022年入所者
「遅刻を治したいのに、一人では難しい」「自分の特性について相談できる場所を探している」という方は、まずはお気軽にご相談ください。プラスイノベーションでは、無料相談・見学を受け付けています。
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