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コラム

話を被せてくる人は病気?ADHDや発達障害との関係と正しい対応

2026.02.17

話を被せてくる人は病気?ADHDや発達障害との関係と正しい対応

「また話を被せてきた」——そう感じる人が職場や家族の中にいると、コミュニケーションが成立しないストレスは相当なものです。一方で「自分もついやってしまう」と自覚している方もいるかもしれません。話を被せるという行動には、単なるマナーの問題だけでなく、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達特性が関わっている場合があることが、近年の研究や臨床現場で明らかになってきています。この記事では、話を被せてくる行動の背景にある神経学的・心理的なメカニズムを整理し、当事者・周囲の人それぞれが取れる具体的な対応を解説します。

「話を被せる」とはどのような行動か

「話を被せる」とは、相手がまだ話し終えていない段階で自分が話し始める行動を指します。会話の途中で割り込む、相手の文章の末尾と自分の発言が重なる、相手の言いたいことを先取りして結論を言ってしまうなど、その形は様々です。

重要なのは、「悪意がある」かどうかを切り離して考えることです。意図的に相手を遮ることもあれば、本人にはまったく自覚がないまま繰り返している場合もあります。後者の場合、当事者は「なぜそんなに嫌がられるのかわからない」と困惑していることも少なくありません。

日常会話で「盛り上がってきたから」つい割り込んでしまう程度であれば、誰にでも起こりえます。問題になるのは、相手が話している最中にほぼ毎回被せてしまう、何度注意されても繰り返してしまう、本人が意図せず無意識に行っているというケースです。

話を被せてくる人に病気や障害が関係することはある?

結論から言えば、話を被せるという行動が、発達障害の特性と深く結びついているケースは確かに存在します。ただし、発達障害があるからといって必ず話を被せるわけではなく、逆に話を被せるからといって発達障害とは限りません。あくまでも「可能性の一つ」として理解しておくことが大切です。

ADHDによる衝動性との関係

ADHDの中核症状のひとつに「衝動性」があります。衝動性とは、考えや行動を抑制する脳の機能(実行機能)が定型発達の人と比べて働きにくい状態です。「言いたいことが頭に浮かんだ瞬間、言わずにはいられない」という感覚は、この衝動性から生まれます。

ADHDの人が話を被せてしまう場面で多いのは、「その話、知っている」「自分の意見を早く伝えたい」という状態になったときです。相手の話を最後まで聞くという「待つ」行動が、脳の構造上とても難しいのです。また、ワーキングメモリ(作業記憶)の弱さから「今言わないと忘れてしまう」という焦りが重なり、より強く割り込む衝動が生まれます。

米国精神医学会の診断基準(DSM-5)でも、ADHDの不注意・多動性・衝動性の症状例として「他者が話し終える前に答えてしまう」「他者の邪魔をする、割り込む」が明示されており、話の割り込みはADHDの診断基準そのものに含まれています。

ASD(自閉スペクトラム症)との関係

ASD(アスペルガー症候群を含む)の場合、衝動性というよりも「相手の話がどこで終わるのかを読み取ることの難しさ」が話の割り込みにつながりやすいです。

会話には、言葉の内容以外にもイントネーションの変化、間の取り方、視線、表情といった非言語情報が「もうすぐ話が終わります」というサインとして機能しています。ASDの特性として、こうしたノンバーバルなサインを自動的に処理することが難しい場合があります。その結果、「そろそろ終わりそうだから話そう」というタイミングの判断を誤り、意図せず被せてしまうことがあります。

また、自分が強い関心を持つトピックになると情報量が増えて一方的に話し続けたり、相手の感情的な文脈より事実や論理の内容を優先してしまうため、会話が「噛み合わない」と感じられることも多くあります。

💡 POINT
ADHDは「衝動性」から、ASDは「非言語情報の読み取りの難しさ」から、それぞれ異なるルートで話の割り込みが起きやすい状況が生まれます。同じ「話を被せる」行動でも、背景にあるメカニズムはまったく異なります。

発達障害がある人が話を被せてしまう背景にあるもの

発達障害の特性を持つ人が話を被せてしまうのは、「マナーを知らない」「相手を軽視している」からではありません。その行動には、脳の情報処理の仕組みに根ざした具体的な理由があります。

「今言わないと忘れてしまう」という切迫感

ADHDの人のワーキングメモリは、定型発達の人と比べて容量が小さかったり、保持できる時間が短かったりすることが多いです。頭の中でアイデアや意見が浮かんだとき、それを「後で言おう」と保留にしておくことが難しく、相手の話の途中でも口に出してしまうのです。

これは意志力の問題ではありません。脳の機能的な特性として、情報を一時保持する力が弱いために起きていることです。「メモを取る」「指を折って覚えておく」などの補完手段が有効なことも多く、支援の現場ではこういった具体的なスキルを練習します。

話の終わりを示すサインが読み取りにくい

定型発達の人であれば、相手の声のトーンが少し下がる、視線がこちらに移る、呼吸が深くなるといったわずかな変化を無意識に感知し、「そろそろ話が終わる」と察知して待機できます。ところがASDの特性を持つ人の場合、こうした微細な社会的シグナルを自動的に処理することが難しいため、タイミングの見計らいに意識的な努力が必要になります。

では、なぜ「意識的に努力すればいい」という話で終わらないのでしょうか。会話は同時にいくつもの情報処理を求めます——相手の言葉の内容を理解しながら、表情を読みながら、次に自分が言うことを考えながら、さらにタイミングも計るという並列処理は、認知的な負荷がきわめて高い作業です。特性によっては、これらすべてを同時にこなすことが現実的に難しいのです。

過集中と情報量の偏り

ADHDの特性のひとつとして「過集中(ハイパーフォーカス)」があります。自分が興味を持ったトピックに話が及んだ瞬間、注意と興奮が急激に高まり、相手の話そのものへの注意が薄れてしまうことがあります。「あ、それ!」と反射的に自分の話を始めてしまう背景には、この過集中のスイッチが入ってしまうことが関係しています。

発達障害以外で話を被せる心理的・状況的な背景

もちろん、発達障害がなくても話を被せやすい状況や心理的な傾向は存在します。混同しないために、こちらも整理しておきましょう。

会話を「競争」と感じている場合:話の主導権を取ることが有利だと学習したり、相手より先に結論を言うことで自分の賢さをアピールしようとする心理パターンです。幼少期の家庭環境や職場文化の影響を受けやすい傾向があります。

不安や緊張が強い場合:沈黙を怖れ、間を埋めなければという焦りから、相手の話が終わる前に話し始めてしまうことがあります。社交不安の強い人に見られることもあります。

文化的・習慣的な違い:地域や家族・職場の文化によっては、活発に割り込みながら話すことが「積極的な参加」と見なされるコミュニティもあります。この場合、「悪意のない被せ」が常態化している場合もあります。

ただし、これらの「状況的・習慣的な話の被せ」と、発達特性に由来する「神経学的な話の被せ」を見分けることは、本人にも周囲にも難しいことが多いです。もし「本人が努力しているのにどうしても改善しない」「幼少期からずっとこの傾向がある」という場合は、発達特性の可能性を念頭に置くことが、適切な支援への第一歩になります。

話を被せてくる人への具体的な対処法

周囲にいる「話を被せてくる人」への対応は、その背景によって変わります。ここでは、発達特性が関わっている可能性を念頭に置いたうえで、実際に使いやすい方法を紹介します。

  1. 1 「今話しています」と穏やかに、具体的に伝える
    「ちょっと待ってください、今話の途中なので」と、感情的にならずに具体的な言葉で伝えるのが効果的です。「なぜわかってくれないの」という感情的な訴えは、発達特性のある人には伝わりにくいことがあります。
  2. 2 話の区切りを明確にする
    「今から3点話します」「ここで一度区切りますね」といった形で、話の構造を言語化すると、相手がタイミングを判断しやすくなります。特にASDの特性がある人には、明示的な構造が非常に助けになります。
  3. 3 メモを活用することを提案する
    「言いたいことは先にメモしておいてください」と提案することで、ワーキングメモリの弱さを補えます。本人が「忘れたくない」という焦りを抱えている場合、この一言で大きく改善することがあります。
  4. 4 責めるより「困っている」という事実を伝える
    「あなたが悪い人だ」ではなく、「私はこういう状況になると困る」というIメッセージで伝えることで、相手が防衛的になりにくくなります。発達特性のある人の多くは、悪意があるわけではなく、周囲が困っているという事実を知ることで変わろうとする意欲を持っています。
⚠️ 注意事項
「発達障害だから仕方ない」と過度に諦めることも、「なぜ直せないの」と責め続けることも、どちらも関係性を消耗させます。特性の理解をベースに、現実的な工夫を積み重ねることが長続きする対応です。

自分が話を被せてしまうと気づいたら

「自分が話を被せてしまっているかもしれない」と気づいた方へ。まず、気づけたこと自体がとても大切な一歩です。

自己認識のある人に対して有効な改善策として、支援の現場でよく用いられるものを紹介します。

「2秒待つ」ルールを意識する:相手が話し終えたと感じた瞬間から、心の中で「1、2」と数えてから話し始める練習です。これだけで、意図せず被せてしまう頻度が減ることが多いです。実際には相手がまだ話し続けていた、ということを防ぐ効果があります。

言いたいことをメモする習慣:ミーティングや大切な会話の前に、話したいことを手元にメモしておく。「忘れてしまうかも」という焦りが消えると、相手の話を最後まで聴く余裕が生まれます。

傾聴のスキルを意識的に学ぶ:「きく」には「聞く(音として処理する)」「聴く(意識を向ける)」「訊く(確認する)」の3種類があると言われます。相手の言葉に頷きながら、最後まで「聴く」という意識を持つだけでも、会話の質が変わってきます。

ただ、努力してもなかなか変わらない、子どものころからずっとこういう傾向がある、という場合は、発達特性の可能性を専門家に相談することも選択肢のひとつです。診断の有無にかかわらず、特性を知ることで自分に合った対策が見つかりやすくなります。

支援を受けた方の声

「授業についていけるか心配だったため、専門学校ではなくCTAに入所しました。個人にあったペースで教えてもらえるため、モチベーションが下がることなく続けることができています。」

— CYBER TECH ACADEMY 2022年4月度入所者

お子さまに「話の割り込み」が多い場合——発達支援という選択肢

「うちの子、いつも人の話に割り込んでしまう」「何度注意しても直らない」という悩みを抱える保護者の方も多いでしょう。子どもの場合、会話スキルは発達の途上にあるため、ある程度の割り込みは年齢的に自然な面もあります。しかし、就学後も著しく目立つ、集団での学習や友人関係に支障をきたしている場合は、専門的な支援を検討するタイミングかもしれません。

発達障害のある子どもに対するコミュニケーション支援では、SST(ソーシャルスキルトレーニング)が有効な手法として知られています。会話のキャッチボールを「技術として学ぶ」場を提供することで、「相手が話し終えてから自分が話す」という流れを身につけていきます。

プラスイノベーションが運営するKid'sTECH(キッズテック)では、プログラミングを療育ツールとして活用しながら、グループワークを通じて傾聴力や協調性を育てるSST的なアプローチを取り入れています。「言いたいことを後でまとめる」「チームで一緒に制作する」という体験の中で、会話のタイミングを自然に学べる環境が整っています。

サービス名 対象 特徴
Kid'sTECH 小1〜高3 ITプログラミングを通じた療育。グループワークでSSTも実施。受給者証利用可。
MIRAIZ 小中高生 不登校・発達障害の子向けフリースクール。個別最適化学習。尼崎市認定。
CYBER TECH ACADEMY 18歳以上 IT就労に特化した自立訓練。コミュニケーション訓練も含む2年間のプログラム。
Kid'sTECHの無料相談・見学予約はこちら

※受給者証をお持ちでない方もまずはご相談ください

大人の発達特性が関わる場合の相談先

「大人になってからADHDやASDではないかと気になり始めた」という方は、思いのほか多くいます。話を被せてしまうことへの周囲の反応が積み重なり、職場での人間関係や自己肯定感に影響が出ている場合は、早めに専門機関に相談することをお勧めします。

相談窓口としては、精神科・心療内科(発達障害の診断・支援が可能な医療機関)、発達障害者支援センター(各都道府県に設置、無料で相談可能)、就労移行支援事業所などがあります。

プラスイノベーションが運営するCYBER TECH ACADEMY(サイバーテックアカデミー)は、精神障害・発達障害のある18歳以上の方を対象としたIT就労特化型の自立訓練校です。コミュニケーションスキルの向上も訓練内容に含まれており、作業療法士や心理担当スタッフが個別にサポートします。就労移行支援とは異なる「自立訓練(生活訓練)」として運営されており、最長2年間の訓練を経て、IT業界への就職や自社での就労をめざします。

まとめ——「なぜ」を知ることが関係性を変える

話を被せてくる人の行動を「マナーが悪い」「自己中心的」とだけ捉えてしまうと、関係は詰まるばかりです。その背景に発達特性があるかもしれないと考えると、対応のアプローチが180度変わります。

ADHDの衝動性、ASDのタイミング読み取りの難しさ、ワーキングメモリの弱さから来る切迫感——これらは、意志の強さで「直す」ものではなく、特性を理解したうえで工夫と支援によって「折り合いをつけていく」ものです。

周囲の方にとっては、具体的な言葉で伝えること、話の区切りを明示することが有効です。当事者の方にとっては、「2秒待つ」「メモを使う」といった具体的な工夫が、長続きするサポートになります。そして、長年変わらない場合は、専門家への相談が新しい視点をもたらします。

「弱み」に見えている特性が、別の文脈では驚くほどの集中力や独自の発想力として輝く——そのことを10年にわたる支援の現場で見てきたのが、プラスイノベーションです。

💡 プラスイノベーションについて
株式会社プラスイノベーションは、発達に凸凹がある子どもたちの「強み」に着目したIT療育を2016年から展開しています。放課後等デイサービス「Kid'sTECH」、フリースクール「MIRAIZ」、就労型自立訓練「CYBER TECH ACADEMY」、就労継続支援B型「ワークリンク尼崎」と、子ども期から就労まで一貫して関わる包括的な支援体制が特徴です。「発達障害だからできない」ではなく、「発達障害だからこそできる」を実現するための環境を整えています。
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お電話でのご相談は 06-6415-6977 まで(平日9:00〜18:00)

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