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コラム

遅刻癖が直らない本当の理由|ADHDとの関係と今日からできる改善策

2026.02.18

遅刻癖が直らない本当の理由|ADHDとの関係と今日からできる改善策

「気をつけているのに、また遅刻してしまった」「前日の夜にちゃんと準備したのに、なぜか間に合わない」——そんな経験を繰り返している方は少なくないはずです。遅刻癖は単なる「だらしなさ」や「意識の低さ」では片付けられない、根深い背景を抱えていることがあります。心理的な傾向から、ADHDなどの発達特性まで、遅刻を繰り返す理由は一つではありません。この記事では、遅刻癖の原因を多角的に整理し、今日から試せる実践的な改善策と、困ったときの相談先についてわかりやすく解説します。

遅刻癖とはどんな状態を指すのか

遅刻癖とは、一度や二度の失敗ではなく、約束や出社時刻に慢性的に間に合わない状態が習慣化しているケースを指します。日常的に「少しだけ遅れてしまう」が積み重なり、気づけば周囲からの信頼を損なっている——という状況が典型です。

重要なのは、遅刻癖のある人の多くが「遅れたい」とは思っていない点です。むしろ本人は毎回「今日こそは間に合わせよう」と思っている。それでも結果として遅れてしまうとしたら、意識だけでは変えにくい何らかの要因が働いていると考えるのが自然です。

遅刻を繰り返してしまう人に共通する心理と特徴

心理的な側面から見ると、遅刻癖のある人にはいくつかの共通パターンがあります。ただし、これは「性格が悪い」ということではなく、時間の認識や処理の仕方に特有の傾向があるというイメージです。

楽観的すぎる時間の見積もり

「あと5分あれば着ける」という感覚が、実際よりも楽観的になりやすい傾向があります。人は物事にかかる時間を短く見積もりがちで、これは心理学で「計画錯誤(Planning Fallacy)」と呼ばれる現象です。普段の通勤でも、「ちょうどいい時間に出れば間に合う」と思って出発するため、少しでも想定外のことが起きると即座に遅れてしまいます。

では、なぜ同じ失敗を繰り返すのでしょうか。それは「前回たまたまうまくいった経験」が記憶に残りやすく、「失敗した経験」の教訓が行動に反映されにくいからです。人の記憶は都合よく書き換えられやすく、「ギリギリで間に合った」という成功体験が楽観的な見積もりを強化してしまいます。

「損したくない」という心理が行動を遅らせる

「もう少しだけやってから出よう」「この動画だけ見終わったら準備しよう」——こうした先延ばしの背景には、今やっていることをやめることへの損失感があります。行動経済学でいう「損失回避」の心理が働き、出発すること(=今の活動を失うこと)を無意識に先送りしてしまうのです。

スケジュール管理が構造的に苦手なケース

「全体の流れを逆算して行動する」という作業は、思った以上に複雑な認知機能を必要とします。起床時刻・準備時間・移動時間・余裕時間を同時に頭の中で処理しながら「今何をすべきか」を判断するのは、脳のワーキングメモリ(作業記憶)に相当な負荷がかかります。この処理が苦手な人にとって、スケジュール管理は意識の問題ではなく、機能的な難しさの問題です。

遅刻癖と発達特性(ADHD)の深い関係

遅刻癖を繰り返している方の中には、ADHD(注意欠如・多動症)の特性が影響しているケースが少なくありません。ADHDは発達障害の一種で、脳の神経伝達物質の働きに特徴があり、「意識すれば直る」という性質のものではありません。

脳の仕組みから生まれる時間感覚のずれ

ADHDのある方は、脳内のノルアドレナリン(集中力に関わる神経伝達物質)の量が少ない傾向があることが知られています。ノルアドレナリンが十分に機能しないと、外部からの情報を取捨選択することが難しくなり、「約束の時間が近づいている」という情報が他の刺激に埋もれてしまいます。

加えて、ADHDではドーパミン(意欲・報酬に関わる神経伝達物質)の働きにも特徴があります。興味関心の高いことに対してはドーパミンが出やすいため集中・行動できますが、そうでない場合は「頭ではわかっているのに体が動かない」状態になりやすいのです。遠足やデートなど楽しみな予定には遅刻しないのに、会社や学校への通常の登校・出社では繰り返し遅刻するというパターンは、この仕組みで説明できます。

💡 POINT
ADHDによる遅刻は、「やる気がない」「だらしない」という問題ではなく、脳の神経伝達物質の特性に起因しています。そのため、精神論だけでは改善が難しく、特性に合った環境設計や支援が必要です。

ADHDによる遅刻の典型的なパターン

ADHDに関連した遅刻には、いくつかの特徴的なパターンがあります。

過集中による時間の喪失:一つの作業に没頭しすぎて、時間の経過を感知できなくなります。スマートフォンの操作や趣味の作業など、興味のある活動に熱中しているうちに出発時刻が過ぎてしまうのが典型例です。

忘れ物・探し物による時間ロス:不注意の特性から、鍵・財布・スマートフォンを置いた場所がわからなくなり、出発直前に探し回ることで時間を失います。整理整頓が苦手なことと合わさって、慢性的な遅刻の原因になります。

睡眠リズムの乱れによる寝坊:ADHDおよびASD(自閉スペクトラム症)のある方には、概日リズム睡眠障害(体内時計のずれ)を併存するケースが多いことが知られています。「寝つけない」「朝に起きられない」という状態が続き、寝坊による遅刻が慢性化します。

ASDのある方に見られる遅刻のパターン

ASD(自閉スペクトラム症)のある方の場合、完璧主義的な傾向から準備に必要以上の時間をかけてしまったり、特定のルーティンにこだわるあまりスケジュールが乱れたりするケースがあります。また、初めて行く場所への不安が強く、下調べに時間をかけすぎる、あるいは逆に不十分な確認のまま出発して迷ってしまうというパターンも見られます。

遅刻癖が仕事・人間関係に与える影響

遅刻が繰り返されると、職場や日常の人間関係に少しずつ影響が出てきます。最初は「また少し遅れた」という程度であっても、積み重なると「あの人は時間にルーズな人」という印象が固定化されていきます。これは本人が努力しているかどうかと関係なく起こります。

特に仕事の場面では、遅刻が減給・解雇につながるリスクもあります。より深刻なのは、遅刻を繰り返すことへの自己嫌悪や罪悪感が積み重なり、うつ病や適応障害などの二次的な問題につながるケースがある点です。「またやってしまった」「自分はどうしてこうなんだ」という自責感が日常的になると、精神的な負担も大きくなります。

自分でできる遅刻癖の改善アプローチ

遅刻癖の改善で大切なのは、「意識を高める」ではなく「仕組みで補う」という発想の転換です。特に発達特性のある方に有効な方法は、脳の処理を助けるための外部ツールや環境設計を使うことです。

まず自分の遅刻パターンを特定する

改善の第一歩は「なぜ遅れているのか」を具体的に把握することです。寝坊が原因なのか、準備中の時間超過なのか、移動の読み誤りなのかによって、対策はまったく異なります。一週間だけ「遅刻した日・その直前に何をしていたか・何分遅れたか」を記録するだけで、自分の遅刻のパターンが浮かび上がってきます。

ここで重要なのは、パターンが分かれば「根性で直す」ではなく「その状況を回避する設計をする」という発想に切り替えられる点です。たとえば「スマホを触り始めると止められない」という傾向があるなら、出発前30分はスマホを別の部屋に置く、といった物理的な環境づくりが有効です。

時間の「見える化」で感覚を補う

時間感覚が弱い方に特に効果的なのが、時間を視覚的・聴覚的に把握するための仕組みづくりです。具体的には次のような方法が挙げられます。

  • 「起床アラーム」だけでなく「○○を始める時刻」「出発時刻」ごとにアラームを複数設定する
  • タイムタイマー(残り時間が視覚的にわかるタイマー)を使い、時間の流れを感覚で掴む
  • スケジュールアプリで「逆算した行動開始時刻」に通知を設定する(「会議30分前に自宅を出る」など)

タイムタイマーはもともとワーキングメモリの弱さへの支援ツールとして開発されたもので、ADHDのある方にも広く活用されています。時計の数字を読んで時間を計算するより、「残りどのくらいか」が一目でわかる視覚的なツールは、時間感覚が弱い方に向いています。

前日の準備をルーティンにする

当日の朝に「何を着るか」「鍵はどこか」を考えていると、その分だけ判断のコストが積み重なります。ADHDのある方の場合、意思決定の連続によって処理が追いつかなくなり、些細なことでつまずきやすくなります。

前日の夜に翌日の持ち物・服装・出発時刻を確認し、かばんにすべて入れておくだけで、朝の判断コストを大幅に減らせます。これを習慣化するためには、「寝る前にやること一覧」をスマートフォンのリマインダーに設定しておくと継続しやすくなります。

環境を整えて「うっかり」を構造的に減らす

鍵・財布・交通系ICカードは「玄関の定位置」に固定し、そこ以外には絶対に置かないというルールをつくります。探し物にかかる時間をゼロにする設計です。スーツケースのように「仕事用バッグは毎日同じセット」として管理すると、忘れ物のリスクも減ります。

また、スマートタグ(AirTagなど)を貴重品に取り付けることで、「どこに置いたか」の不安そのものをなくすことができます。意識でカバーするのではなく、モノの仕組みに任せるという発想が、長続きするコツです。

「遅刻癖の背景に発達特性があるかも」とお感じの方へ

株式会社プラスイノベーションでは、発達特性のある方の就労・生活支援を専門に行っています。まずはお気軽にご相談ください。

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改善が難しい場合に考えたい選択肢

上記のような対策を試してみても、なかなか改善が見られない場合は、より専門的なサポートを検討する価値があります。遅刻癖の背景にADHDや睡眠障害が関係している可能性があるなら、医療的なアプローチが助けになることもあります。

まず受診の選択肢として考えられるのは、精神科・心療内科です。ADHDの診断や、睡眠の問題(概日リズム障害など)に対して、薬物療法や認知行動療法などのアプローチが提供されます。「受診するほどでもないかも」と思われるかもしれませんが、長年困り続けているなら専門家の視点を借りることは有益です。

また、就労に影響が出ている方には、就労支援サービスの活用も選択肢の一つです。特に発達特性のある方向けの就労移行支援や自立訓練事業所では、時間管理・生活習慣の形成を、専門家のサポートを受けながら取り組めます。「意識を高めよう」ではなく「仕組みをつくるサポートを受ける」という形です。

⚠️ 注意事項
遅刻癖の改善には時間がかかる場合があります。自己嫌悪や責め続けることは状況を悪化させる可能性があります。「直そうとしている自分」を認めながら、無理のないペースで取り組むことが大切です。

発達特性のある方が安心して働くための支援について

株式会社プラスイノベーションは、2016年の設立以来「弱みを強みに変える」という理念のもと、発達特性のある方の支援を行ってきた会社です。遅刻癖や時間管理の難しさなど、職場で困りやすい課題に対しても、専門スタッフが個別に向き合います。

就労型自立訓練事業所「CYBER TECH ACADEMY(サイバーテックアカデミー)」では、ITスキルの習得と並行して、時間管理・生活習慣の形成を専門スタッフがサポートしています。作業療法士や臨床心理士が在籍しており、「仕事以前の生活の土台づくり」から丁寧に取り組めます。

また、就労継続支援B型事業所「ワークリンク尼崎」では、体調や特性に合わせた柔軟な勤務体制でITスキルを活かした作業に取り組むことができます。「まず仕事に慣れること」「毎日を安定して過ごすこと」から支援をスタートできるため、遅刻癖や就労リズムが整いきっていない方にも対応しています。

利用者の声

「無遅刻無欠席を目標に、毎日頑張って通所しています。朝起きれなくても、支援員からの『待ってるね』という温かい声かけで何とか続けて通うことができています。」

— CYBER TECH ACADEMY 2022年度入所者

遅刻癖に悩む方の中には、特性を理解されないまま職場で孤立したり、自己嫌悪を繰り返していたりする方が少なくありません。プラスイノベーションでは、そうした方が「自分の特性を活かせる環境」で働けるよう、尼崎市(兵庫県)を拠点に支援を続けています。

まずは一歩、相談してみませんか

遅刻癖や時間管理の難しさを一人で抱え込まないでください。プラスイノベーションでは、発達特性に詳しい専門スタッフが無料でご相談をお受けしています。尼崎市(CYBER TECH ACADEMY・ワークリンク尼崎)のほか、東京(蒲田)でのご相談もお気軽にどうぞ。

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