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コラム

ロールプレイとは|意味・やり方から発達支援・研修での活用まで

2026.02.20

ロールプレイとは|意味・やり方から発達支援・研修での活用まで

「ロールプレイ」という言葉を耳にする場面は幅広い。ビジネス研修、学校の授業、心理療法、そして発達支援の現場まで、その用途は多岐にわたります。しかし「なんとなくわかる」で止まっている人が多いのも事実です。ロールプレイが持つ本来の力はどこにあるのか、どんな場面でどう使えば効果が出るのか。この記事では、意味・目的・種類・進め方を体系的に整理しながら、実践で役立つ視点をお伝えします。

ロールプレイとは何か?意味と語源

ロールプレイ(Role Play)は、「役割(Role)」と「演じる(Play)」を組み合わせた言葉で、日本語では「役割演技」とも訳されます。参加者がある役割を担い、特定の状況を模擬的に体験することで、スキルの習得や他者理解を深める手法です。

「ロールプレイング」「ロープレ」「ロールプレー」はすべて同じ意味で使われており、文脈によって呼び方が変わるだけです。ビジネスの現場では略して「ロープレ」と呼ばれることが多く、心理学や教育の分野では「ロールプレイング」が一般的です。

「演技」とは違う、ロールプレイの本質

ロールプレイと聞くと「演じる=演技が上手くないといけない」と思われがちですが、これは誤解です。ロールプレイの目的は、上手く演じることではなく、「その立場に立って考え、実際に行動してみること」にあります。

心理学者のヤコブ・モレノが1920年代に開発した「サイコドラマ(心理劇)」が起源とされており、もともとは治療目的で使われていました。「自分以外の誰かの視点を体験すること」が持つ深い学習効果は、その後、教育・企業研修・福祉の場へと広がっていきました。

心理学におけるロールプレイの意味

心理学においてロールプレイは、主にソーシャルスキルトレーニング(SST)の文脈で活用されます。SSTとは、日常生活や社会参加に必要なコミュニケーション技術を、場面の再現を通じて身につけるトレーニング手法です。

特に発達障害(ASD・ADHD)のある方にとって、ロールプレイは単なる「練習」以上の意味を持ちます。暗黙のルールや感情的なニュアンスが読み取りにくい場合でも、具体的なシナリオを繰り返し体験することで、行動のパターンを身体レベルで習得できるという特性があります。

ロールプレイの目的と得られる効果

ロールプレイが多くの場面で採用されている背景には、人間の学習メカニズムに合った特性があります。「聞く・読む」だけの学習と、「実際にやってみる」学習では、記憶の定着率が大きく異なることは、教育研究の文脈でも繰り返し示されてきました。

実践力と経験値を短時間で積む

ロールプレイ最大の強みは、「失敗してもリスクがゼロの環境で経験値を積める」ことです。営業であれば顧客への提案、接客であればクレーム対応など、実際の場面で失敗すれば顧客や職場への影響が生じます。しかしロールプレイの場では、失敗そのものが学習材料になります。

特定の状況を繰り返し練習することで、スキルが「知っている」レベルから「反射的に使える」レベルへと移行していきます。これは運動スキルの習得と同じ原理であり、頭でわかっていることと、身体が動くこととの間にある「実行のギャップ」を埋めるのがロールプレイの役割です。

他者理解と自己課題の発見

ロールプレイには「自分の役割」だけでなく「相手役」も存在します。顧客役・上司役・生徒役などを担うことで、相手の立場から見た自分の言動を疑似体験できます。これは、自分では気づいていなかった課題を発見する大きなきっかけになります。

「なぜ自分の説明が伝わらないのか」「相手はどこで不安を感じているのか」といった問いに対して、ロールプレイは他のどの研修手法よりも直接的な答えを与えてくれます。

ロールプレイの代表的な4つの種類

ロールプレイには複数の形式があり、目的や参加人数、習熟度によって使い分けることが重要です。同じ「ロールプレイ」という名称でも、進め方や期待される効果はかなり異なります。

1

ケース型ロールプレイング

実際の業務や生活で起こりうるシナリオを設定し、2人以上で演じる最もオーソドックスな形式。「店員と顧客」「上司と部下」「支援員と利用者」のように役割を分け、特定の場面を想定して行います。具体的なシチュエーションがあるため、フィードバックが明確になりやすいのが特徴です。

2

モデリング型ロールプレイング

まず模範となるロールプレイを「見せる」ところから始まる形式。熟練した指導者や先輩スタッフが実演し、参加者はそれを観察した後に同じ場面を再現します。何が良い対応なのかを可視化できるため、基準が曖昧になりがちな「接遇」「コミュニケーション」の研修に特に向いています。

3

グループ型ロールプレイング

複数の参加者が一つのシナリオに関わる形式。演じる人と観察する人を分け、観察者がフィードバックを行うことで多角的な視点が生まれます。一対一のケース型に比べて、組織やチームの相互理解を深めることに向いており、グループワークの要素が強いのが特徴です。

4

問題解決型ロールプレイング

解決策が一つに定まらない、複雑な場面を扱う形式。正解を目指すのではなく「どのように考え、判断するか」というプロセス自体を練習します。管理職研修のフィードバック面談や、支援場面でのトラブル対応など、答えのない状況でこそ力を発揮します。

効果を出すロールプレイのやり方

ロールプレイは「やるだけで効果が出る」というものではありません。現場でよく見られる失敗パターンは、「形式だけ整えてフィードバックが機能していない」ケースです。では、効果が出るロールプレイはどのように進めるべきでしょうか。

STEP 1:目的とシナリオを具体化する

「コミュニケーション力を上げる」という目的は抽象的すぎます。「初対面の顧客に商品の特徴を3分以内で伝える」のように、場面・相手・時間・達成基準を明確にすることで、演じる側も観察する側も焦点を絞りやすくなります。

シナリオは「よくある現実の場面」から設定するのが基本ですが、難易度を少し上げた「ちょっとだけ難しい場面」を選ぶことがポイントです。簡単すぎると練習の意味が薄れ、難しすぎると参加者が萎縮します。

STEP 2:役割分担と観察ポイントの共有

演者だけでなく、観察者にも「何を見るか」を明示します。「声の大きさ」「アイコンタクトの頻度」「提案の順序」など、チェックポイントが具体的であるほど、フィードバックが建設的になります。

また相手役(顧客役・部下役など)を担う人の設定が曖昧なことが、多くのロールプレイが機能しない原因になっています。「どのくらい難しい顧客を演じるか」「どんな返答をするか」を事前にある程度決めておくことで、想定した練習効果に近づけられます。

STEP 3:実施後のフィードバックが鍵を握る

ロールプレイにおいて最も重要なのは「演じる時間」ではなく「その後の振り返り」です。フィードバックなしのロールプレイは、課題が見えないまま終わることが多く、同じ間違いが繰り返されやすくなります。

💡 フィードバックの3原則
①良かった点を先に伝える:改善点だけ伝えると参加者のモチベーションが下がります。具体的に「〇〇の部分は効果的でした」と行動ベースで伝えましょう。

②改善点は「行動」に絞る:「もっと自信を持って」などの抽象的な指摘より、「次の場面では最初に相手の名前を呼んでみましょう」のように、次に試せる具体的な行動を提示します。

③本人の気づきを優先する:「どうでしたか?どこが難しかったですか?」と本人に振り返らせてから補足する形が、最も定着率が高まります。

ロールプレイが特に力を発揮する場面

ビジネス研修・営業研修での活用

企業研修においてロールプレイが最も普及しているのは、営業・接客・クレーム対応の分野です。知識のインプットは座学でも可能ですが、「実際に話す」練習は体験なくしては身につきません。新入社員が電話対応を学ぶ場面や、管理職が1on1面談の進め方を練習する場面など、活用の幅は広い。

コンタクトセンター(コールセンター)領域では、スクリプト通りでなく顧客の状況に応じて柔軟に対応するスキルをロールプレイで鍛える事例が多く見られます。また、ビジネスマナー研修における名刺交換や訪問時の作法も、動作を伴うロールプレイで習得するのが最も効率的です。

発達特性のある方の就労訓練での活用

ロールプレイが特に大きな意味を持つのが、発達障害(ASD・ADHD)のある方への就労支援の場面です。一般的なコミュニケーション訓練では「空気を読む」「場の雰囲気に合わせる」といった暗黙知の習得が求められますが、これが難しい方も少なくありません。

ロールプレイは暗黙知を「見える手順」に変換できます。「面接でどんな順番で話すか」「職場で困ったときに誰にどう声をかけるか」といった場面を繰り返し練習することで、頭で理解しているだけでは越えられなかった「実行のハードル」を下げることができます。

ポイントは、同じシナリオを複数回繰り返すことと、失敗しても責められない安全な環境を整えることです。一般の研修以上に、参加者の心理的安全性への配慮が成果を左右します。

支援現場の声

「授業についていけるか心配だったため、CYBER TECH ACADEMYに入所しました。個人にあったペースで教えてもらえるため、モチベーションが下がることなく続けることができています。アウトプットする機会があり、自信にも繋がっています。」

— CYBER TECH ACADEMY 2022年度入所者
就労訓練にロールプレイを活かしたい方へ 株式会社プラスイノベーションが運営する就労型自立訓練事業「CYBER TECH ACADEMY」では、IT技術の習得とあわせて、職場で必要なコミュニケーション訓練(ロールプレイを含む)を実施しています。発達特性(ADHD・ASD・LD)や精神障害のある方を対象に、作業療法士・心理士が連携して個別支援を行っています。

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学校・教育現場での活用

学校教育においてもロールプレイは広く取り入れられており、道徳教育・総合的な学習の時間・国語の授業などで活用されています。異なる立場を体験することで、歴史的事件の背景を理解したり、異文化への感受性を育てたりする目的で使われます。

開発教育協会(DEAR)では、異なる社会集団の立場を演じることで「合意形成・他者受容・課題への理解」を深める参加型学習手法として、ロールプレイを体系的に位置づけています。特別支援教育の場では、SSTの一環として日常場面の練習に使われることが多く、「給食の時に友だちにどう声をかけるか」「困ったとき先生にどう伝えるか」といった生活スキルを身につける場面で力を発揮します。

ロールプレイが機能しない原因と対策

「ロールプレイをやったが手ごたえがない」という声は少なくありません。では、なぜ機能しないのでしょうか。現場でよく見られる失敗パターンには、ほぼ共通した原因があります。

よくある失敗パターン 原因と対策
緊張感がなく「なんとなくやる」 日常的に顔を合わせている同士だと、真剣度が下がりやすい。観察者をつけるか、録画フィードバックを取り入れると緊張感が保たれます。
フィードバックが抽象的 「もっとハキハキ話して」「笑顔で」など感覚的な指摘は行動に結びつきにくい。「最初の15秒で相手の名前を使って挨拶する」のように次にできる行動で伝えます。
相手役の設定が曖昧 相手役が「なんとなくの顧客」だと練習の質が安定しない。「価格に敏感で時間がない顧客」のように具体的なキャラクター設定を事前に共有します。
毎回同じ内容で惰性化 同じシナリオを繰り返すと「こなす」作業になる。段階的にシナリオを複雑にするか、役割をローテーションすることで新鮮な課題が生まれます。
⚠️ 発達特性のある方へのロールプレイで特に注意すること
発達障害のある方に対してロールプレイを行う場合、「失敗させない配慮」より「失敗しても大丈夫な環境づくり」のほうが重要です。「うまくできなかった=自分がダメ」という認知につながらないよう、支援者側が「失敗は次への情報」として扱う姿勢を一貫して示すことが求められます。また、一度に複数のスキルを練習するより、一つのポイントに絞って繰り返すほうが定着しやすい傾向があります。

ロールプレイを活かした支援・訓練を探しているなら

ロールプレイは、練習する本人の「安心感」と「具体的な場面設定」があってはじめて機能します。特に発達特性のある方が就労に向けたコミュニケーション訓練を行う際には、専門知識を持つスタッフのもとで系統的に取り組むことが大切です。

株式会社プラスイノベーションでは、発達障害・精神障害のある方を対象に、IT技術習得とあわせたコミュニケーション訓練(SSTを含む)を提供しています。就労訓練事業「CYBER TECH ACADEMY」では、臨床心理士・作業療法士・現役エンジニアが連携し、就職後の定着まで見据えた個別支援を実施しています。また、就労継続支援B型「ワークリンク尼崎」では、実際の業務を通じながらITスキルと職場でのコミュニケーションを段階的に習得できる環境を整えています。

「会話の苦手さをどう克服すればいいかわからない」「就職前に職場でのやり取りを練習したい」といったお悩みは、専門家への相談から始めることで、具体的なアプローチが見えてきます。

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