雨の日のウォーキング|服装・代わり運動と習慣を崩さないための工夫
雨の日のウォーキング、続ける?やめる?
結論から言えば、「続けるも正解、代替運動に切り替えるも正解」です。ただ何もしないのだけは避けたい。なぜなら運動の効果の多くは継続性によって生まれるからです。
ここで注目してほしいのは、ウォーキングが持つ「生活リズム調整」の機能です。毎日同じ時間に歩くという行為は、体内時計を整え、起床・食欲・睡眠の質にも連鎖的に影響を与えます。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、日中の身体活動が夜間の睡眠の質を高めることが示されており、ウォーキングは運動そのものだけでなく、一日全体のリズムを作る基盤として機能しています。
特にADHDやASDなどの発達特性がある方にとって、このリズムの崩れは定型発達の方以上に影響が出やすい傾向があります。ADHDでは実行機能(段取りを立てて行動を開始する力)に困難が生じやすく、「今日は雨だからやめた」が引き金となって、次の日も・その次の日も動き出せなくなるケースが珍しくありません。ASDの方の場合は、ルーティンが崩れること自体がストレスとなり、気分の落ち込みや不安に直結しやすいという特性もあります。
雨の日に外でウォーキングするかどうかの判断基準としては、「小雨程度で風が強くない」「適切なレインギアを持っている」「足元が極端に滑りやすくない」という3点が揃っているかどうかが目安になります。台風や強風を伴う大雨の場合は、無理せず室内運動に切り替えるのが賢明です。
雨の日ウォーキングには意外なメリットがある
「晴れた日より雨の日のほうがいい」とまでは言いませんが、雨ならではのメリットがあることも事実です。いくつか整理してみましょう。
✓ 暑さを避けながらカロリーを消費できる
特に夏場の日本では、晴れた日の屋外ウォーキングは熱中症リスクと隣り合わせです。雨の日は気温が下がり、体温調節の負担が減るため、同じ距離でも身体への負荷が安定します。濡れた路面で慎重に足を運ぶことで体幹も使われ、実は晴れの日よりも丁寧な歩き方ができる場合もあります。
✓ 雨音とペトリコールが自律神経を整える
雨が地面に落ちる一定のリズムは、副交感神経を優位にする「1/fゆらぎ」に近い特性を持つとされています。また、雨が乾いた土に触れたときに発生する「ペトリコール」と呼ばれる香りは、セロトニン分泌に関わるとも言われます。科学的な確定はまだ途上ですが、「なぜか雨の日の散歩が落ち着く」という経験を持つ方は少なくないでしょう。
✓ 人が少なく、静かに歩けるコースを独占できる
公園や遊歩道は、雨の日になると人通りが大幅に減ります。人混みが苦手な方にとって、雨の日のウォーキングは"貸し切り状態"に近い環境を提供してくれる貴重な機会でもあります。混雑を避けながら自分のペースで歩けるのは、見逃せないメリットです。
雨の日のウォーキングに適した服装と装備
外で歩くと決めたなら、装備が9割です。不快さや危険を減らすことで、雨の日のウォーキングはぐっと快適になります。
✓ レインウェアの選び方
傘をさしながらのウォーキングは、腕の振りが制限されるうえに片手が塞がり、バランスを取りにくくなります。レインウェア(上下セパレートタイプ)を選んだほうが、両手が自由になり安全です。素材は防水性と透湿性を兼ね備えたゴアテックスやエントラントなどが定番ですが、近年はワークマンなどでも機能性の高い製品が手頃な価格で入手できます。
色選びも重要です。雨天・曇天は視界が落ちるため、車や自転車からの視認性を高める意味で明るい色(蛍光イエロー・オレンジ・反射素材入り)のウェアを選ぶと安全性が上がります。
✓ 防水シューズ・靴の選び方
濡れた路面での転倒リスクを減らすには、靴底のグリップ力が最優先です。一般的なランニングシューズは濡れた路面に弱いものが多く、ゴアテックスライニングを採用したトレイルランニングシューズや専用のウォーキングシューズが選択肢として挙がります。
靴の防水スプレーを活用することで、普段使いのスニーカーにある程度の撥水性を付与することも可能です。ただし完全防水ではないため、長時間・大雨での歩行には限界があります。
✓ 雨の日ウォーキングの注意点
装備が整っていても、歩き方次第でリスクは変わります。特に気をつけたいポイントをまとめます。
- ✓ マンホールの蓋や白線の上は特に滑りやすい。意識して避けながら歩く
- ✓ 歩行ペースを晴れの日より10〜15%落とし、重心を低めに保つ
- ✓ 帰宅後は濡れた服をすぐに脱いで体を冷やさないようにする
- ✓ 雷が鳴り始めたら即座に撤退。屋根のある場所に避難する
雨でも濡れずにウォーキングできる場所
「外には出たいが濡れたくない」という場合、場所を変えることで十分な歩行量を確保できます。
雨の日のウォーキングの代わりになる室内運動
「今日は外に出ない」と決めた日でも、自宅でウォーキングに相当する有酸素運動は十分実施できます。重要なのは、ウォーキングで得ていた「時間・心拍数・運動量」を別の形で補うことです。
✓ その場足踏み・室内ウォーキング
最もハードルが低い代替運動です。テレビを見ながらその場で足踏みを続けるだけで、15〜20分で1,000〜1,500歩に相当する運動量を確保できます。膝を高く上げると負荷が増し、心拍数も上がりやすくなります。
「室内ウォーキング」として廊下や部屋の中を往復する方法もあります。8メートル程度の空間を使って折り返しながら歩くだけで、ウォーキングと同様の有酸素効果が得られます。歩幅と姿勢を意識するだけで、短時間でも質の高い運動になります。
✓ 踏み台昇降
踏み台昇降は、10〜15cmの台(雑誌の束や市販のステップ台)を用意するだけで実施できます。昇降動作は脚の筋肉を使う割合が高く、同じ時間のウォーキングよりも心肺への刺激が強めになります。負荷を調整しやすいため、体力に合わせた運動強度のコントロールがしやすい点も特徴です。
✓ スクワット・ランジで基礎代謝を上げる
筋力トレーニングを組み合わせると、ウォーキングだけでは補いにくい筋量維持・向上の効果が得られます。スクワットとランジは大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋など大きな筋群を動員するため、脂肪燃焼効果も高い種目です。
スクワット20回→その場足踏み2分→ランジ左右10回ずつ→その場足踏み2分、を3セット繰り返すと、30分弱でウォーキングに近い総カロリーを消費できます。
発達特性があると、なぜ雨の日に生活習慣が乱れやすいのか
「雨の日も動く」仕組みを考える前に、まず理解しておきたいのが「なぜ発達特性のある方は環境変化の影響を受けやすいのか」という背景です。
ADHDの方の場合、実行機能(行動を開始・切り替える力)に困難が生じやすく、「雨だから今日は休もう」という判断をいったん下すと、次の日も行動を起こすハードルが上がってしまいます。これは意志の弱さではなく、脳の情報処理の特性によるものです。さらに、睡眠リズムが乱れやすいADHDの特性と重なると、雨が続く梅雨の時期に習慣が一気に崩れるケースも少なくありません。
ASDの方にとっては、「いつもと違う状況」そのものがストレスになりやすいという側面があります。雨でルーティンが変わること、服装が違うこと、音や感触が変わること——これらが重なって精神的な疲弊を招き、運動どころか外出自体が困難になることもあります。
こうした特性を踏まえると、「意志を強く持って続ける」より「崩れにくい仕組みをあらかじめ設計する」アプローチのほうがはるかに現実的です。具体的な方法を見ていきましょう。
✓ 「雨の日プランB」を事前に決める
「雨が降ったらこの室内ウォーキング動画を20分やる」「ショッピングモールを2周する」など、代替行動を具体的に決めておくと、その場での判断が不要になります。意思決定の回数を減らすことが、実行機能に困難のある方の行動継続率を高めるうえで特に有効です。これは「実行意図」と呼ばれる行動科学の知見で、「いつ・どこで・何をするか」を具体的に決めておくことが習慣形成に有効だと示されています。
✓ 「準備行動」だけを習慣化する
運動ウェアに着替える、玄関に立つ——そこまでを自動化できれば、外に出るかどうかの判断はそのあとで行えます。行動の入り口を固めることが、結果として実行率を高めます。ASDの方にとっては、「雨の日でも着替える時間は変えない」というルール自体が、変化への適応をなめらかにする一助になります。
✓ 「代替した日」も記録して可視化する
「歩いた日」だけでなく「雨で代替運動をした日」も同じように記録することで、習慣の連続性を視覚的に守れます。ADHDの方は特に「達成の見える化」がモチベーション維持に効きやすい傾向があるため、カレンダーへのシール貼りやアプリの記録など、視覚的なフィードバックを取り入れると継続しやすくなります。
よくある質問
Q 雨の日のウォーキングは効果が上がるって本当ですか?
「雨だとカロリーが多く燃える」という話を耳にすることがありますが、単純な有酸素運動の効率という意味では、晴れの日と大きな差はありません。ただし、気温が低い日には体温を維持するためのエネルギー消費がわずかに増えることはあります。また、濡れた路面を安全に歩くために自然と体幹を使う場面が増えるため、姿勢や筋肉への刺激が変わる面はあります。
Q 雨の日も毎日ウォーキングしないとダメですか?
毎日歩くことが理想ですが、室内での代替運動でも十分に効果を補えます。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、週に150〜300分程度の中強度有酸素運動が推奨されています。雨の日は室内運動で対応しつつ、週単位での運動量を守るという考え方のほうが、長期的には継続しやすくなります。
Q 梅雨の時期、モヤモヤした気分はどうすればいいですか?
梅雨期の気分の落ち込みは、日照時間の減少によるセロトニン分泌の低下と関係しています。屋内でも明るい照明のもとで体を動かすことは有効です。また、運動習慣を維持していること自体が「自分はやれている」という感覚につながり、気分の維持に貢献します。雨の日こそ、少しでも体を動かす理由になります。
生活習慣の形成から就労まで、プラスイノベーションに相談する
雨の日のウォーキング問題は、ひとつの運動の話にとどまらず、「毎日のリズムをどう守るか」という生活習慣全体の問題に行き着きます。起床・運動・食事・睡眠のサイクルが安定していることは、精神的な安定や就労継続にも直結する、非常に重要な土台です。
特に発達特性(ADHD・ASD・LD・起立性調節障害など)のある方にとって、外部環境の変化(雨・季節の変わり目・体調の波など)によって生活リズムが崩れやすいことは、珍しくありません。「また乱れた」と自分を責めるよりも、崩れにくい仕組みを一緒に設計することが、長期的な安定につながります。
株式会社プラスイノベーションは、「発達に凸凹がある方の強みを活かす」という理念のもと、子どもから大人まで幅広いライフステージで個別支援を行っています。就労型自立訓練「CYBER TECH ACADEMY」では、起床・通所・作業・帰宅というリズムを整えることを就労準備の出発点として位置づけ、ITスキルの習得と並行して生活習慣そのものをサポートしています。作業療法士や心理専門スタッフが常駐し、個別の状況に応じたペースで支援を受けられます。
「習慣が続かない」「天気や体調で生活リズムが乱れやすい」「就労に向けて生活の基盤から整えたい」といったお悩みを抱えている方、あるいはお子さまの支援を探しているご家族の方は、まずは無料相談・見学からお気軽にご連絡ください。
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