休職から復職へ - 自立訓練(生活訓練)を活用した段階的な職場復帰の実践法
「主治医から復職可能と言われたが、本当にもう働けるのだろうか」「体調は回復したが、また同じ状況で潰れてしまうのではないか」。休職期間を経て復職を考え始めた時、多くの方がこうした不安と葛藤を抱えています。厚生労働省の調査によれば、メンタルヘルス不調による休職者の約30%が復職後1年以内に再び休職するというデータもあり、「ただ体調が良くなったから復職する」だけでは不十分であることが明らかになっています。そこで注目されているのが、自立訓練(生活訓練)という障害福祉サービスを活用した、段階的かつ計画的な復職準備です。
自立訓練(生活訓練)による復職支援とは
自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。精神疾患や発達障害などにより休職・離職された方が、自立した日常生活や社会生活を営めるよう、一定期間の訓練を提供します。多くの方が誤解しているのですが、自立訓練は「生活の基本動作を学び直す場」というよりも、むしろ働くために必要な生活習慣や体調管理、対人関係のスキルを実践的に身につける場として機能しています。
厚生労働省の統計によれば、精神疾患による休職者数は年々増加傾向にあり、復職後の再休職率も決して低くありません。こうした背景から、単に体調が回復したから復職するのではなく、再発を防ぎながら安定して働き続けるための準備期間として、自立訓練の活用が重視されるようになってきました。
✓ リワーク支援の3つの形態
リワーク(re-work:復職)支援には、実施主体によって大きく3つの形態があります。それぞれ特徴が異なるため、自分の状況に合わせて選択することが重要です。
医療リワークは、精神科や心療内科のクリニックで提供されるプログラムです。医療保険が適用され、主治医の指示のもとで実施されるため、医学的な管理が必要な方に適しています。ただし、週2〜3回程度の通所が一般的で、実務的なスキル訓練よりも、疾病理解や再発予防に重点が置かれる傾向があります。
職リハリワークは、地域障害者職業センターが提供する職業リハビリテーションサービスです。無料で利用でき、職場や主治医と連携しながら、約3ヶ月間の集中的なプログラムを受けることができます。しかし、全国の拠点数が限られているため、地域によっては利用しづらいという課題があります。
福祉リワークは、障害福祉サービス事業所が提供するリワーク支援です。自立訓練(生活訓練)や就労移行支援を活用し、週5日の通所を基本として、実践的な訓練を長期間受けることができます。利用料は所得に応じた負担となり、多くの方が無料または少額で利用できる仕組みです。
✓ 自立訓練(生活訓練)が復職支援に適している理由
では、なぜ復職支援において自立訓練(生活訓練)が注目されているのでしょうか。最も大きな理由は、休職中であっても利用できるという点にあります。
令和6年度の報酬改定により、一般就労している障害者が休職し、復職支援として自立訓練を利用する場合の要件が整理されました。具体的には、主治医の意見書、事業所が作成する個別支援計画、そして本人・家族の同意があれば、休職期間中でも自立訓練のサービスを受けることが可能です。これは就労移行支援にはない、自立訓練の大きな特徴といえます。
さらに、自立訓練は最長2年間(標準利用期間は1年6ヶ月)という比較的長い期間を設定できるため、焦らず段階的に復職準備を進められます。メンタルヘルス不調からの回復は、身体疾患とは異なり、波を繰り返しながら徐々に安定していくものです。週5日の勤務に耐えられる体力や集中力を取り戻すには、相応の時間が必要になります。
自立訓練と就労移行支援の違い - 復職にはどちらを選ぶべきか
リワーク支援を検討する際、多くの方が悩むのが「自立訓練と就労移行支援、どちらを選べばよいのか」という点です。両サービスは似ているようで、実は目的も対象も大きく異なります。
✓ サービスの目的と対象者の違い
自立訓練(生活訓練)の主な目的は、「自立した日常生活や社会生活を営めるようにすること」です。生活リズムの確立、体調管理、対人関係スキルの向上など、働く前提となる生活基盤を整えることに重点を置いています。休職中の方、入院から地域生活に移行した方、引きこもり状態から社会参加を目指す方などが対象となります。
一方、就労移行支援は「一般企業への就職を実現すること」が目的です。就職活動の支援、企業実習、ビジネスマナーの習得など、就職に直結する訓練が中心となります。対象は原則として離職中の方であり、現在雇用関係がある休職中の方は、通常は利用できません。
✓ 休職中の方が自立訓練を選ぶメリット
休職中の方にとって、自立訓練を選ぶ最大のメリットは、復職先が確定している安心感の中で、焦らず訓練に集中できる点にあります。就労移行支援の場合、就職活動そのものがプログラムの一部となるため、どうしても「早く就職先を見つけなければ」という焦りが生じやすくなります。
また、復職に向けた訓練であれば、現在の職場で求められるスキルや業務内容に特化した準備ができます。たとえば、IT企業のシステムエンジニアであれば、プログラミングスキルの維持やアップデート、事務職であればOfficeソフトの実務的な操作訓練など、復職後すぐに活かせる内容を中心に学ぶことが可能です。
さらに見逃せないのが、企業との連携体制です。自立訓練事業所の多くは、利用者が休職している企業の人事担当者や産業医と定期的に情報共有を行います。訓練の進捗状況や本人の様子を伝えることで、企業側も復職のタイミングを判断しやすくなり、スムーズな職場復帰につながります。
✓ 離職後に就労移行支援を検討するケース
一方で、すでに離職している方や、復職ではなく転職を考えている方には、就労移行支援が適している場合もあります。特に、前職とは異なる業種・職種への転換を希望する場合、就労移行支援では幅広い職業訓練や企業実習の機会が用意されているため、新たなキャリアを模索しやすい環境といえます。
ただし注意すべきは、自立訓練から就労移行支援への移行も可能だという点です。自立訓練で生活基盤を整えた後、復職ではなく新しい環境での就職を目指す方向に変更することもできます。したがって、現時点で迷っているのであれば、まずは自立訓練から始めて、訓練を進める中で自分の方向性を見極めるという選択も合理的です。
自立訓練(生活訓練)での復職までのプロセス
自立訓練を活用した復職支援は、段階的なプロセスで進められます。急激な負荷をかけるのではなく、徐々にステップアップしていくことで、無理なく職場復帰を実現できる仕組みです。
✓ 第1段階:生活リズムの回復と体調管理
復職支援の最初の段階は、規則正しい生活リズムを取り戻すことから始まります。休職期間中、多くの方が昼夜逆転や不規則な生活になりがちですが、週5日勤務に対応するには、まず毎朝決まった時間に起床し、決まった時間に事業所へ通所する習慣を身につける必要があります。
この段階では、週3日程度の通所から始め、徐々に日数を増やしていくケースが一般的です。通所時間も短時間からスタートし、体力や集中力の回復に合わせて延ばしていきます。焦らず自分のペースで進められる点が、自立訓練の大きな利点です。
また、体調管理のスキルも重要な訓練項目です。睡眠時間の記録、服薬管理、ストレスサインの早期発見など、自分の体調を客観的にモニタリングする方法を学びます。作業療法士などの専門スタッフがいる事業所では、個別のアドバイスを受けながら、自分に合った体調管理の方法を確立していくことができます。
✓ 第2段階:業務スキルの再構築
生活リズムが安定してきたら、次は業務に必要なスキルを段階的に取り戻していきます。ここで重要なのは、休職前に持っていたスキルを「思い出す」だけでなく、ブランクによって低下した部分を「鍛え直す」という認識です。
たとえば、事務職の方であれば、ExcelやWordの基本操作から始め、徐々に実務レベルの作業に取り組んでいきます。最初は簡単な入力作業でも、休職前のようにスムーズにできないことに焦りを感じる方もいます。しかし、これは脳の働きが回復途上にあるためであり、訓練を続けることで必ず取り戻せます。
IT業界で働く方の場合、プログラミング言語やツールの使い方を復習しながら、簡単なコーディング課題に取り組むことが効果的です。特にIT業界は技術の進歩が速いため、休職中に新しい技術やフレームワークが登場していることもあります。自立訓練の期間を活用して、こうした最新情報をキャッチアップすることも、復職後の自信につながります。
✓ 第3段階:職場復帰への実践的準備
復職の最終段階では、実際の職場環境を想定した実践的な訓練を行います。グループワークでのコミュニケーション訓練、納期を設定した模擬プロジェクト、複数のタスクを同時進行させるマルチタスク訓練など、職場で求められる実践的なスキルを磨きます。
この段階で特に重視されるのが、ストレスマネジメントです。復職後に再び休職してしまう大きな要因の一つが、ストレスへの対処法を身につけないまま職場に戻ってしまうことです。認知行動療法的なアプローチで、ストレスの受け止め方を変える訓練や、リラクゼーション技法の習得なども、プログラムに組み込まれています。
また、職場との試し出勤(リハビリ出勤)を並行して行うケースもあります。週のうち数日は職場で勤務し、残りの日は自立訓練事業所で振り返りやフォローアップを行う形です。これにより、実際の職場環境でのストレスや課題を早期に発見し、復職前に対策を講じることができます。
✓ 復職後の定着支援
自立訓練のプログラムは、復職したら終わりではありません。多くの事業所では、復職後も一定期間、定着支援として継続的なフォローアップを提供しています。復職直後の数ヶ月間は、新たな環境に適応する過程で様々な困難に直面することがあるため、この時期のサポートが特に重要です。
定期的な面談を通じて、職場での困りごとや体調の変化を共有し、必要に応じて対処法を一緒に考えていきます。また、職場の上司や人事担当者とも連携を取りながら、本人が働きやすい環境づくりをサポートします。こうした継続的な支援体制があることで、復職後の再休職リスクを大幅に減らすことができます。
復職を成功させるための自立訓練プログラム
自立訓練事業所が提供するプログラムは多岐にわたりますが、復職支援に特化したプログラムには、いくつかの共通する特徴があります。
✓ 心身の健康管理プログラム
復職の基盤となるのが、心身の健康を維持・管理するスキルです。多くの事業所では、軽い運動プログラム、ヨガやストレッチ、呼吸法などのリラクゼーション技法を取り入れています。これらは単なる気分転換ではなく、自律神経のバランスを整え、ストレス耐性を高めるための科学的根拠のある手法です。
また、食事や睡眠に関する知識も、プログラムの重要な要素です。栄養バランスの取れた食事が脳の働きに与える影響、睡眠の質を高めるための環境づくりなど、日常生活の中で実践できる具体的なノウハウを学びます。こうした基本的な生活習慣の改善が、実は復職後の安定就労に大きく貢献します。
✓ 業務遂行能力の回復訓練
仕事で求められる集中力、判断力、処理能力を段階的に回復させるための訓練も欠かせません。初期段階では、単純作業から始めて集中力の持続時間を測定し、徐々に作業の複雑度を上げていきます。
特にホワイトカラー職種の方に重要なのが、認知機能の回復訓練です。うつ病などの精神疾患では、記憶力、注意力、遂行機能などの認知機能が一時的に低下することが知られています。パズルや計算問題、記憶課題などを通じて、これらの機能を効果的に回復させていきます。
IT業界で働く方向けには、プログラミング演習やシステム設計の模擬課題など、より専門的な内容も用意されています。実際の業務に近い形で訓練することで、復職後のギャップを最小限に抑えることができます。
✓ コミュニケーションスキルの再構築
職場での人間関係は、メンタルヘルス不調の原因となることも、回復の支えとなることもあります。そのため、自立訓練では対人関係スキルの向上にも力を入れています。
グループワークを通じて、他者の意見を聴く力、自分の考えを適切に伝える力、協力して課題を解決する力などを実践的に身につけます。また、アサーティブコミュニケーション(自他尊重の自己表現)の技法を学ぶことで、無理に我慢したり、逆に攻撃的になったりせず、適切に自己主張できるようになります。
特に重要なのが、「助けを求める力」の育成です。多くの方が休職に至る背景には、困ったときに周囲に相談できず、一人で抱え込んでしまう傾向があります。どのようなタイミングで、誰に、どのように助けを求めればよいのか、具体的な方法を練習することで、復職後の孤立を防ぎます。
✓ 再発防止のためのセルフケア習得
復職後に最も避けたいのが、同じ状況で再び休職してしまうことです。そのため、自立訓練では再発防止のためのセルフケア技術を徹底的に習得します。
認知行動療法(CBT)の手法を用いて、自分の思考パターンや行動パターンを客観的に振り返り、どのような状況でストレスを感じやすいのか、どのような思考が不調のきっかけになるのかを理解します。そして、そうした兆候を早期に察知し、悪化する前に対処する方法を身につけます。
また、マインドフルネスやリラクゼーション技法なども、日常的に実践できる有効なセルフケア手段です。これらは一時的な気分転換ではなく、継続することで脳の働き方そのものを変える効果があることが、脳科学の研究で明らかになっています。
自立訓練を利用した復職の実例
実際に自立訓練を活用して復職を果たした方々の事例を見ることで、具体的なイメージが湧きやすくなるでしょう。
✓ うつ病からの復職事例
Aさん(30代・男性)は、営業職として働いていましたが、過重労働とプレッシャーからうつ病を発症し、6ヶ月間休職しました。主治医から復職可能の判断が出た後も、「また同じ状況になるのではないか」という不安が強く、すぐには復職できませんでした。
自立訓練事業所での訓練では、まず週3日・午前中のみの通所から始めました。最初の2ヶ月は生活リズムの安定に専念し、徐々に通所日数と時間を増やしていきました。4ヶ月目からは週5日・フルタイムの通所が可能となり、営業資料の作成やプレゼンテーション練習など、実務に近い訓練を行いました。
特に効果的だったのは、認知行動療法を用いたストレスマネジメントの訓練でした。「断られたら自分の価値がない」という極端な思考パターンに気づき、より柔軟な考え方を身につけることで、プレッシャーへの耐性が高まりました。
訓練開始から8ヶ月後、試し出勤を経て正式に復職。復職後も月1回、事業所のスタッフとの面談を継続し、1年以上安定して勤務を続けています。
✓ 適応障害からの復職事例
Bさん(20代・女性)は、人事部の事務職として働いていましたが、上司との関係性の悪化から適応障害と診断され、3ヶ月間休職しました。体調は回復したものの、職場の人間関係への不安が大きく、復職をためらっていました。
自立訓練では、業務スキルの維持に加えて、対人関係スキルの向上に重点を置いた訓練を行いました。グループワークを通じて、他者の意見を受け止める練習や、自分の気持ちを適切に伝えるアサーション訓練を繰り返しました。
また、事業所のスタッフが会社の人事担当者と連携を取り、復職後の配置や業務内容について調整を行いました。その結果、直属の上司を変更してもらうことができ、Bさんの不安が大きく軽減されました。
訓練開始から5ヶ月後に復職。新しい上司のもとで安定して働けており、職場でのコミュニケーションにも自信が持てるようになったといいます。
✓ IT業界での復職を実現したケース
Cさん(40代・男性)は、IT企業でシステムエンジニアとして働いていましたが、長時間労働と納期のプレッシャーから心身の不調をきたし、1年間休職しました。IT業界は技術の進歩が速いため、長期間のブランクに対する不安が特に大きかったといいます。
IT特化型の自立訓練事業所を利用することで、プログラミングスキルの維持・向上と生活訓練を並行して進めることができました。現役のエンジニアが指導に当たるため、最新の開発手法やツールについても学ぶことができ、ブランクへの不安が徐々に解消されていきました。
また、作業療法士による生活訓練では、長時間のデスクワークに耐えられる体力づくりや、ストレスマネジメントの技術を習得しました。模擬プロジェクトでは、納期を設定した開発業務を通じて、実務感覚を取り戻すことができました。
1年間の訓練期間を経て、元の職場に復職。訓練で習得したタスク管理の手法やストレスコントロール技術を活用し、無理のないペースで業務を遂行できているといいます。事業所のIT部門での業務委託も受けており、安定した収入を得ながら働き続けています。
自立訓練(生活訓練)の利用方法と費用
自立訓練を利用するには、一定の手続きが必要です。また、費用についても気になるところでしょう。ここでは、実際の利用方法と費用について詳しく説明します。
✓ 利用対象者と条件
自立訓練(生活訓練)の対象となるのは、以下のような方々です。
- ✓ 精神障害(うつ病、統合失調症、適応障害、双極性障害など)により休職・離職した方
- ✓ 発達障害(ADHD、ASD、学習障害など)のある方
- ✓ 長期入院後、地域生活に移行する方
- ✓ 特別支援学校を卒業後、就労に向けた準備が必要な方
休職中の方が自立訓練を利用する場合、主治医の意見書、個別支援計画書、本人・家族の同意書が必要となります。また、市区町村の障害福祉窓口で相談し、受給者証の交付を受ける必要があります。
✓ 利用期間と延長について
自立訓練(生活訓練)の標準利用期間は、原則として1年6ヶ月(18ヶ月)です。ただし、個別の状況に応じて最長2年間まで延長が可能です。延長する場合は、市区町村の判断を受ける必要があり、主治医の意見書や訓練の進捗状況などが考慮されます。
復職支援の場合、多くの方が1年以内に復職を果たしていますが、症状の重さや職場環境によっては、より長期の訓練が必要なケースもあります。焦らず、自分のペースで進められることが、自立訓練の大きな利点です。
✓ 利用料金の仕組み
自立訓練の利用料は、世帯の所得に応じた負担上限月額が設定されています。具体的には以下のとおりです。
多くの場合、休職中の方は収入が減少しているため、低所得区分に該当し、利用料が無料となるケースが多くあります。また、一般1の区分でも月額9,300円という負担で、週5日・フルタイムのプログラムを受けることができるため、非常にコストパフォーマンスの高いサービスといえます。
✓ 利用開始までの流れ
自立訓練を利用するまでの一般的な流れは以下のとおりです。
事業所への見学・相談
まずは気になる事業所に連絡し、見学や相談の予約を取ります。実際に施設を見学し、プログラム内容やスタッフの雰囲気を確認することが重要です。
主治医への相談
主治医に自立訓練の利用を相談し、意見書を作成してもらいます。この意見書は、受給者証の申請に必要となります。
市区町村での申請
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で、受給者証の申請を行います。申請には、主治医の意見書、障害者手帳(持っていない場合は診断書)などが必要です。
受給者証の交付
申請から通常2週間〜1ヶ月程度で、受給者証が交付されます。この証明書があれば、自立訓練事業所と利用契約を結ぶことができます。
利用契約・利用開始
事業所と利用契約を結び、個別支援計画を作成します。その後、実際の訓練がスタートします。
復職を目指す方が事業所を選ぶ際のポイント
自立訓練事業所は全国に数多くありますが、復職支援を目的とする場合、どのような視点で事業所を選べばよいのでしょうか。
✓ 専門スタッフの配置状況
復職支援において重要なのは、専門性の高いスタッフがいるかどうかです。特に以下のような専門職が配置されている事業所は、質の高い支援が期待できます。
- 臨床心理士・公認心理師(心理面のサポート)
- 作業療法士(日常生活動作の訓練)
- 精神保健福祉士(福祉制度の活用支援)
- キャリアコンサルタント(キャリア設計支援)
また、IT業界での復職を目指す場合は、現役のエンジニアやデザイナーが指導スタッフとして在籍している事業所を選ぶことで、実務レベルのスキル訓練が受けられます。
✓ 復職実績と定着率
事業所を選ぶ際は、具体的な復職実績や定着率を確認することも重要です。特に「復職後の6ヶ月定着率」や「1年定着率」は、復職支援の質を測る重要な指標となります。
実績の数字だけでなく、どのような業種・職種での復職が多いのか、どのような症状の方が復職に成功しているのかなど、具体的な事例を聞くことで、自分の状況に合った事業所かどうかを判断できます。
✓ プログラムの内容と柔軟性
復職支援プログラムの内容が、自分の課題やニーズに合っているかを確認しましょう。生活訓練だけでなく、業務スキルの訓練、IT技術の習得、コミュニケーション訓練など、多様なプログラムが用意されている事業所が理想的です。
また、プログラムの柔軟性も重要です。体調の波に合わせて通所日数や時間を調整できるか、個別の課題に対応したプログラムをカスタマイズできるかなど、個別性を重視した支援体制があるかを確認すべきです。
✓ 企業や医療機関との連携体制
復職支援では、本人だけでなく、職場の人事担当者や産業医、主治医との連携が非常に重要です。事業所がこれらの関係機関と積極的に連携を取る体制があるかどうかを確認しましょう。
特に、企業訪問や職場担当者との定期的な情報共有、主治医との連携による医学的な状態の把握など、多角的なサポート体制が整っている事業所であれば、よりスムーズな復職が期待できます。
復職成功のカギ - IT業界で働く方への包括的サポート
IT業界で働く方にとって、休職期間のブランクは特に大きな不安材料となります。技術の進歩が速いこの業界では、数ヶ月の休職でも新しいフレームワークやツールが登場し、自分の知識が古くなっているのではないかという焦りを感じる方も少なくありません。
株式会社プラスイノベーションが運営するCYBER TECH ACADEMY(サイバーテックアカデミー)では、こうしたIT業界特有の課題に対応した復職支援を提供しています。単なる技術訓練ではなく、「なぜ休職に至ったのか」という根本原因の理解と、「どうすれば再発を防げるのか」という実践的な対策を、IT技術の習得と並行して進めていきます。
✓ 「技術」と「心身の健康」の両輪アプローチ
復職に失敗する多くのケースで見られるのが、技術的なスキルは回復したものの、ストレスマネジメントや体調管理の方法を身につけないまま職場に戻ってしまうパターンです。CYBER TECH ACADEMYでは、現役エンジニアによる実践的なIT訓練と、作業療法士・心理専門職による生活訓練を同時並行で進めることで、技術面と心身面の両方から復職準備を整える体制を構築しています。
たとえば、午前中はプログラミング課題やシステム設計の訓練を行い、午後は体調管理やストレスコントロールの実践練習を行うといった具合です。この組み合わせにより、「技術的には問題ないが体調が不安定」「体調は良いが技術力に自信がない」といった、どちらか一方に偏った状態を避けることができます。
✓ 企業との橋渡し役としての機能
復職支援において見落とされがちなのが、企業側との連携です。休職者本人がどれだけ準備を整えても、受け入れる側の企業が適切な配慮や調整を行わなければ、スムーズな復職は難しくなります。
CYBER TECH ACADEMYでは、利用者の同意のもと、企業の人事担当者や産業医と定期的に情報共有を行います。訓練の進捗状況、現在の体調や作業能力、復職に向けた課題などを具体的に伝えることで、企業側も復職のタイミングや業務調整を適切に判断できるようになります。また、必要に応じて職場環境の調整(業務量の段階的な増加、配置転換の検討など)を提案することもあります。
✓ 復職後も続く「安全網」としてのフォローアップ
復職直後の数ヶ月間は、最も再休職のリスクが高い時期です。新たな環境への適応ストレス、業務量の増加、人間関係の再構築など、様々な負荷が一気にかかるためです。
そのため、CYBER TECH ACADEMYでは復職後も定期的な面談を継続し、職場での困りごとや体調の変化を細かくモニタリングします。問題の兆候が見られた場合は、早期に対処法を一緒に考え、必要に応じて企業側にも状況を伝えます。この「復職後も続くサポート」があることで、利用者は安心して新しいスタートを切ることができます。
✓ 転職という選択肢にも対応
訓練を進める中で、「元の職場への復職ではなく、新しい環境で再スタートしたい」と考えが変わる方もいます。むしろ、休職の原因が職場環境そのものにあった場合、同じ環境に戻ることが最善とは限りません。
CYBER TECH ACADEMYでは、自社にITソリューション事業部があり、訓練終了後の就労先を確保できるという強みがあります。また、提携企業との連携により、IT業界での新たな就職先の紹介や、企業実習の機会も提供しています。復職か転職か、訓練期間中にじっくり考えながら、自分に最適な進路を選択することができます。
復職への第一歩 - 今日から始められること
自立訓練の利用を検討されている方、あるいは復職に向けて何から始めればよいか迷っている方に、今すぐ実践できる具体的なステップをご紹介します。
✓ 主治医との率直な対話
まず最も重要なのは、主治医との対話です。「復職したい」という気持ちだけでなく、「復職に向けてどのような準備が必要か」「自立訓練の利用は適切か」といった具体的な相談をしましょう。主治医の意見書は、自立訓練の利用申請に必要な書類でもあります。
この際、遠慮せずに自分の不安や懸念を正直に伝えることが大切です。「体調は良くなったが、また同じストレスに晒されるのが不安」「技術的なブランクが心配」など、具体的に話すことで、医師もより適切なアドバイスができます。
✓ 複数の事業所を実際に見学する
自立訓練事業所は、それぞれ特色が大きく異なります。IT特化型、医療的ケア重視型、少人数制、大規模型など、様々なタイプがあります。必ず複数の事業所を実際に見学し、雰囲気やプログラム内容を比較検討することをお勧めします。
見学の際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- スタッフの専門性(臨床心理士、作業療法士などの配置)
- プログラムの具体的内容と自分の課題との適合性
- 企業や医療機関との連携体制
- 復職実績と定着率(具体的な数字を聞く)
- 施設の雰囲気や清潔感、通所のしやすさ
✓ 企業への早めの相談
休職している企業には、できるだけ早い段階で「自立訓練を利用して復職準備をしたい」という意向を伝えましょう。多くの企業は、復職に向けた前向きな取り組みを評価しますし、事業所との連携も円滑に進みます。
また、産業医との面談がある場合は、自立訓練の活用について相談することで、医学的な観点からのアドバイスも得られます。企業、医療機関、事業所の三者が連携することで、より確実な復職が実現できます。
✓ 焦らず、自分のペースで
最後に、最も大切なことをお伝えします。それは、焦らないことです。周囲からのプレッシャーや経済的な不安から、「早く復職しなければ」と焦ってしまう方も多いのですが、準備が不十分なまま復職して再び休職するよりも、しっかりと準備期間を確保する方が、長い目で見れば確実です。
自立訓練は最長2年間という期間が設定されています。これは、十分な準備期間を確保するための制度設計です。自分の回復ペースに合わせて、無理なく着実に進んでいくことが、成功への近道です。
プラスイノベーションに相談してみませんか
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CYBER TECH ACADEMYでは、以下のような方を特にサポートしています。
- ✓ IT企業で働いていたが、メンタルヘルス不調で休職している方
- ✓ 技術的なブランクを埋めながら、心身の健康も整えたい方
- ✓ 復職ではなく、IT業界への転職を考えている方
- ✓ 発達障害の特性を活かしてIT分野で働きたい方
- ✓ 週3日から無理なく通所を始めたい方
兵庫県尼崎市(阪神尼崎駅徒歩4分)に事業所があり、大阪市、西宮市、芦屋市、神戸市など京阪神エリアからも通いやすい立地です。送迎サービスもありますので、通所に不安がある方もご相談ください。
見学では、実際の訓練の様子をご覧いただけるほか、臨床心理士や作業療法士との個別相談も可能です。あなたの状況や希望に合わせて、最適な復職プランをご提案いたします。
電話でのお問い合わせ:06-6415-6977(平日10:30〜19:30)