WISC検査でわかる、お子さまの可能性を伸ばすヒント
お子さまの発達や学習面で気になることがあると、学校の先生や保健師から「WISC検査を受けてみては」と提案されることがあります。しかし、いざ検査を勧められても「知能検査って何を調べるの」「うちの子は発達障害なのだろうか」と不安を感じる保護者の方も少なくありません。
WISC検査は、お子さまの得意なことと苦手なことを客観的に把握するためのツールです。検査結果を正しく理解し活用すれば、お子さまの特性に合わせた支援の方向性が見えてきます。この記事では、WISC検査の基本的な内容から結果の見方、そして検査結果を実際の支援にどう活かすのかまで、詳しく解説していきます。
WISC検査とは何か
WISC(ウィスク)は、正式名称を「Wechsler Intelligence Scale for Children」といい、5歳0ヶ月から16歳11ヶ月までのお子さまを対象とした知能検査です。アメリカの心理学者デビッド・ウェクスラーによって開発され、世界20数カ国で使用されている国際的な標準検査として高い信頼性を持っています。
日本では2021年に最新版のWISC-V(ウィスク・ファイブ)が発行されましたが、現在も多くの医療機関や教育機関ではWISC-IV(ウィスク・フォー)が使用されています。施設によって使用するバージョンが異なるため、検査を受ける際には事前に確認しておくとよいでしょう。
✓ WISC検査は発達障害の診断ツールではない
よくある誤解として、「WISC検査を受けたら発達障害と診断される」というものがあります。実際には、WISC検査だけで発達障害かどうかを判断することはできません。発達障害の診断には、医師による総合的な判断が必要であり、WISC検査はあくまでその判断材料のひとつにすぎないのです。
では、WISC検査の本来の目的は何でしょうか。それは、お子さまの認知特性を多角的に理解し、得意な分野と苦手な分野を明確にすることです。この情報があれば、学校での学習方法の工夫、家庭での関わり方の見直し、そして必要な支援サービスの選択など、具体的な対応策を考える手がかりが得られます。
✓ 年齢によって使い分けられるウェクスラー式知能検査
ウェクスラー式知能検査は、対象者の年齢によって3つの種類に分かれています。幼児期にはWPPSI(ウィプシ)、学齢期にはWISC(ウィスク)、そして16歳以降の成人にはWAIS(ウェイス)が用いられます。5歳から7歳3ヶ月のお子さまについては、発達状況に応じてWPPSIとWISCのどちらかを選択することになります。
WISC検査の内容と測定する能力
WISC検査は、お子さまと検査者が1対1で向き合い、さまざまな課題に取り組む形式で行われます。検査時間は通常60分から90分程度で、臨床心理士や医師などの専門家が実施します。検査中は、お子さまの反応だけでなく、取り組む姿勢や集中力の持続なども観察されます。
✓ WISC-IVで測定される4つの指標
現在広く使用されているWISC-IVでは、全検査IQ(FSIQ)に加えて、4つの指標得点が算出されます。これらの指標を組み合わせて分析することで、お子さまの認知特性が立体的に見えてきます。
言語理解指標(VCI)
言葉による理解力や推理力、知識の豊富さを測る指標です。たとえば「りんごとみかんの共通点は何ですか」といった質問に答えたり、言葉の意味を説明したりする課題が含まれます。この指標が高いお子さまは、言葉による説明を理解することが得意で、読書や会話を通じた学習に向いている傾向があります。
知覚推理指標(PRI)
視覚的な情報を処理し、パターンを見つけたり空間的な関係性を理解したりする能力を測ります。積み木を組み立てたり、絵の中から欠けている部分を見つけたりする課題があります。この能力が高いお子さまは、図や表を使った学習、工作やパズルなどが得意な場合が多く見られます。
ワーキングメモリー指標(WMI)
情報を一時的に記憶し、頭の中で操作する能力を測定します。数字を逆から言う、聞いた順番を覚えるといった課題が含まれます。ワーキングメモリーは、複数の指示を同時に理解したり、暗算をしたりする際に重要な役割を果たします。この指標が低い場合、一度に多くの指示を出されると混乱しやすい傾向があります。
処理速度指標(PSI)
視覚的な情報を素早く正確に処理する能力を測ります。記号を書き写したり、図形を探したりする課題があります。処理速度が遅いからといって理解力がないわけではありません。むしろ、時間をかけて丁寧に取り組むことで、高い理解に到達するお子さまも多くいます。
✓ WISC-Vでより詳細な分析が可能に
2021年に発行されたWISC-Vでは、指標が4つから5つに増えました。知覚推理指標が「視空間指標」と「流動性推理指標」に分かれたことで、視覚的な情報処理能力と論理的思考力をより細かく把握できるようになっています。また、検査項目も15項目から16項目に増え、お子さまの特性をさらに詳細に理解できる仕組みになりました。
WISC検査を受けるべきタイミングとは
WISC検査は、お子さまに何らかの困りごとがあるときに受けることが多い検査です。ただし、「困りごと」の内容は多様で、必ずしも発達障害を疑う場合だけではありません。以下のような状況で、検査を検討することがあります。
- ✓ 学習面で特定の教科に著しい苦手がある
- ✓ 授業中に集中することが難しく、注意散漫な様子が見られる
- ✓ 友達とのコミュニケーションにぎこちなさがある
- ✓ 不登校が続いており、学校での適応を見直したい
- ✓ 支援学級や支援学校への進学を検討している
小学校入学前の年長時期に検査を受ける方も多くいます。この時期に検査を受けておくと、入学後の学習環境や必要な配慮について、学校と具体的に相談することができます。ただし、あまり早すぎる時期に受けても、お子さまの発達段階によっては正確な結果が得られないこともあるため、専門家と相談しながら適切なタイミングを見極めることが大切です。
WISC検査を受けられる場所と費用
WISC検査は、臨床心理士や医師などの専門資格を持つ者しか実施できない検査です。そのため、受けられる場所は限られており、事前に予約が必要な場合がほとんどです。検査を希望する場合は、まず以下のような機関に相談してみましょう。
✓ 医療機関(児童精神科・小児科)
児童精神科や発達外来のある小児科では、診断の一環としてWISC検査を実施しています。医師が検査の必要性を判断した場合に受けることができ、保険適用となるケースが多いです。ただし、検査結果の報告書作成には文書料が別途かかります。医療機関で受ける最大のメリットは、検査結果に基づいて医師の診断を受けられることです。
✓ 教育支援センター・発達支援センター
各自治体が運営する教育支援センターや発達支援センターでも、WISC検査を受けることができます。多くの場合、無料で検査を受けられますが、対象は中学3年生までとしている自治体が多く、また検査が混み合っている場合は数ヶ月待つこともあります。こうした公的機関では診断を出すことはできませんが、検査結果に基づいて教育上の配慮や支援サービスの利用について相談することができます。
✓ 民間の心理相談室・カウンセリングルーム
臨床心理士が開設している民間の心理相談室でも、WISC検査を実施しているところがあります。費用は施設によって異なりますが、自費診療となるため、検査料と報告書作成料を合わせて2万円から5万円程度かかることが一般的です。待ち時間が比較的短く、柔軟に対応してもらえることがメリットといえます。
検査結果の見方と活用のポイント
WISC検査を受けた後、専門家から検査結果の説明を受けます。検査結果には複数の数値が記載されていますが、重要なのは数値そのものではなく、各指標のバランスや得意・苦手の傾向を理解することです。
✓ 合成得点の意味を理解する
WISC検査の結果には、全検査IQと各指標得点が「合成得点」として示されます。この数値は平均を100とし、標準偏差15で示されます。つまり、85から115の範囲に約68%の子どもが含まれることになります。ただし、全検査IQが高いか低いかだけで判断するのではなく、各指標のバランスを見ることが重要です。
たとえば、全検査IQが100でも、言語理解指標が120で処理速度指標が80というお子さまの場合、平均的な知能を持つというだけでは十分な理解になりません。このお子さまは言葉による理解は非常に優れているものの、素早く作業することには苦手意識を持つ可能性があります。テストで時間が足りなくなりやすいかもしれませんが、じっくり考える時間があれば高い理解力を発揮できるはずです。
✓ 指標間の差に注目する
発達障害の特性を持つお子さまの場合、各指標間に大きな差が見られることがあります。一般的に、指標間の差が15ポイント以上ある場合、その差は意味のあるものとして解釈されます。この「凸凹」が大きいほど、得意なことと苦手なことの差が顕著であり、日常生活や学習場面で困難を感じやすい傾向があります。
ただし、凸凹があることは決してマイナスではありません。むしろ、得意な分野が明確になることで、その強みを活かした学習方法や将来の進路選択につなげることができます。実際、プログラミングやデザインといったIT分野では、視覚的な情報処理が得意なお子さまが高いパフォーマンスを発揮することも少なくありません。
✓ 検査中の行動観察も重要な情報
WISC検査では、数値化された結果だけでなく、検査中のお子さまの様子も重要な情報となります。課題に取り組む姿勢、集中力の持続時間、難しい問題に直面したときの反応など、こうした行動観察から得られる情報は、お子さまの特性を立体的に理解する手がかりになります。検査結果の説明を受ける際には、ぜひこうした観察所見についても詳しく聞いてみてください。
検査結果を実際の支援につなげる
WISC検査の真の価値は、結果を封筒に入れたまましまっておくのではなく、日々の生活や学習に活かすことにあります。検査結果から得られた情報をもとに、具体的にどのような支援が考えられるのでしょうか。
✓ 学校での配慮を具体的に依頼する
検査結果は、学校に対して必要な配慮を依頼する際の客観的な根拠となります。たとえば、ワーキングメモリーが低いお子さまの場合、「一度に複数の指示を出すのではなく、ひとつずつ伝えてください」「視覚的な手がかり(ホワイトボードへの板書など)を増やしてください」といった具体的な配慮を求めることができます。
また、処理速度が遅いお子さまには、テスト時間の延長や宿題量の調整といった配慮が有効です。こうした配慮は、お子さまの能力を正当に評価するために必要なものであり、決して「特別扱い」ではありません。
✓ 家庭での関わり方を見直す
検査結果は、保護者がお子さまとどう関わるかを考える手がかりにもなります。言語理解が高いお子さまには、言葉での説明を丁寧に行うことが効果的です。一方、視覚的な情報処理が得意なお子さまには、図やイラストを活用した説明が理解を助けます。
また、お子さまの苦手な部分を「できないこと」として叱るのではなく、「時間をかければできること」として見守る姿勢も大切です。検査結果を知ることで、保護者自身が「なぜこの子はこうなんだろう」というイライラから、「こういう特性があるから、こう関わろう」という前向きな気持ちに変わることも、大きな意義のひとつです。
✓ 得意分野を伸ばす療育・習い事を選ぶ
WISC検査の結果は、お子さまの得意分野を活かせる活動を見つける手がかりにもなります。視覚的な情報処理や論理的思考が得意なお子さまの場合、プログラミングやデザインといったIT分野での学びが、自己肯定感の向上につながることがあります。
実際、プラスイノベーションが運営するIT療育型放課後等デイサービス「Kid'sTECH」では、WISC検査の結果を参考にしながら、一人ひとりのお子さまに合わせたプログラミング学習を提供しています。視覚優位のお子さまには動画教材を活用し、論理的思考が得意なお子さまには段階的なカリキュラムで成功体験を積み重ねていきます。こうした個別最適化されたアプローチにより、お子さまの「できない」を「得意」に変えていくことが可能になります。
検査結果を療育に活かすプラスイノベーションの取り組み
プラスイノベーションでは、WISC検査をはじめとする心理検査の結果を、実際の療育や教育に活かす取り組みを行っています。単に検査結果を説明するだけでなく、その結果をもとに具体的な支援計画を立て、お子さまの成長を長期的にサポートしています。
✓ Kid'sTECHでの個別最適化された学習
IT療育型放課後等デイサービス「Kid'sTECH」では、お子さまの認知特性に合わせて、ゲーム開発コース、ITプログラミングコース、ITデザインコースの3つから最適なコースを選択できます。WISC検査で視覚的な情報処理が得意だとわかったお子さまには、デザインやビジュアルプログラミングを中心に学習を進めます。一方、言語理解が高いお子さまには、コードの意味をしっかり理解しながら進める学習スタイルを採用します。
また、処理速度が遅いお子さまには、時間をかけて丁寧に取り組める環境を用意し、ワーキングメモリーに課題があるお子さまには、視覚的な手がかりを多用した教材で学習をサポートします。こうした配慮により、お子さま一人ひとりが自分のペースで確実にスキルを身につけていくことができます。
✓ MIRAIZでの学び直しと探求型学習
フリースクール「MIRAIZ」では、不登校や発達特性のあるお子さまに対して、WISC検査を含む専門的なアセスメントを実施しています。検査結果をもとに、お子さまの学習スタイルに合わせた個別の学習計画を立て、基礎からの学び直しと探求型学習を組み合わせたカリキュラムを提供しています。
心理専門スタッフが常駐しているため、学習面だけでなく、不安や悩みに対するケアも手厚く行います。検査結果を保護者と共有し、家庭での関わり方についてもアドバイスを提供することで、学校・家庭・MIRAIZが連携してお子さまを支える体制を整えています。
✓ 将来の就労まで見据えた一貫支援
プラスイノベーションの特徴は、療育から教育、就労訓練、そして就労までを一貫してサポートする体制にあります。WISC検査で明らかになったお子さまの得意分野を、Kid'sTECHでの療育を通じて伸ばし、高校生向けのIN学院や自立訓練事業のCYBER TECH ACADEMYでさらに専門的なスキルを習得します。最終的には、自社のITソリューション事業部や提携企業での就労につなげることができます。
この一貫したサポート体制により、お子さまの特性を「障害」ではなく「可能性」として捉え、その強みを活かせる将来を実現することが可能になります。
WISC検査を受ける前に知っておきたいこと
WISC検査を受けることを検討している保護者の方に、事前に知っておいていただきたいポイントがあります。
✓ 検査結果は絶対的なものではない
WISC検査は標準化された信頼性の高い検査ですが、その日のお子さまの体調や気分、検査者との相性などによって、結果は変動する可能性があります。特に、体調が悪いときや極度に緊張しているときに受けた検査は、お子さまの本来の力を反映していない場合があります。検査結果は参考情報のひとつとして捉え、日常生活での様子と照らし合わせながら総合的に理解することが大切です。
✓ 数値だけに一喜一憂しない
全検査IQの数値が高ければ安心、低ければ心配、という単純な解釈は避けましょう。重要なのは、お子さまの特性を理解し、それに合わせた支援を考えることです。IQが平均的でも、各指標に大きな凸凹があれば支援が必要な場合もありますし、IQが平均より低くても、適切な環境と支援があれば、お子さまは充実した生活を送ることができます。
✓ 検査は目的ではなく手段
WISC検査を受けることが目的になってしまっては本末転倒です。検査は、お子さまをより深く理解し、適切な支援を提供するための手段にすぎません。検査を受けた後、その結果をどう活かすかを考え、実際の行動につなげることが何より大切です。検査結果を封筒に入れたまましまっておくのではなく、学校や療育施設と共有し、具体的な支援計画を立てましょう。
お子さまの可能性を信じて、一歩を踏み出す
WISC検査は、お子さまの今の状態を客観的に把握するための有効なツールです。検査結果から得られる情報は、お子さまの得意なことと苦手なことを理解し、適切な支援を提供するための貴重な手がかりとなります。
大切なのは、検査結果を「診断」として受け止めるのではなく、「お子さまをより深く理解するための情報」として活用することです。苦手な部分があることは、決してマイナスではありません。その一方で、得意な部分も必ずあるはずです。その強みを活かせる環境を整えることで、お子さまは自信を持って成長していくことができます。
もし、WISC検査の結果をどう活かせばよいか迷っている、お子さまの特性に合わせた支援方法を知りたいとお考えでしたら、プラスイノベーションまでお気軽にご相談ください。臨床心理士・公認心理師が常駐し、WISC検査の結果を踏まえた個別最適化された療育プログラムを提供しています。
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